歩くリトマス試験紙の反応記録

『ありのままに、ゆったり生きる』

『病院スクランブル』 第7回 鉄分

 

第7回 鉄分

 

f:id:yumi_11819:20190306111552j:plain

2019年2月26日 薬局

 

笑顔のお姉さんに

病歴や飲んでいる薬、通っている病院などを

記入した用紙を渡した。

 

また、ほわっとした笑顔が返ってきた。

 

お姉さんを怖い人だと思っていた罪悪感と

ネットの情報に踊らされていた恥ずかしさに

居たたまれなくなった。

 

だが感情を隠せないほど

私の人生経験は甘くない。

 

営業用笑顔を

張り付けて乗り切った。



3人がけのソファーに座って待っていると

数分後、別の女性が奥から出てきた。

 

薬を入れた2つの袋と

お薬手帳、薬の説明書が入った

プラスチックかごを持っている。

 

穏やかな貫禄を感じる

 

私は察した。

この人が調剤薬局の責任者だ。

 

女性の顔には

心配そうな表情が浮かんでいる。

 

『何か、失敗してしまったのか?』

 

心拍数が上がった。

 

私の記入に問題はなかった。

処方された薬が問題だった。

 

女性は私の隣に座り

丁寧に薬、特に鉄分の錠剤について

説明をしてくれた。

 

そして、この言葉が繰り返された。

 

「なにかあったら、すぐに医師に相談してください」

 

嫌でも、悟るしかなかった。

 

薬剤師が心配するほど、きつい薬なんだな

 

鉄分補給するだけの錠剤だと

甘く考えていた。



T先生との会話を思い出した。

 

「この薬は空腹時に、1日1回だけ飲んでください」

「副作用で腹痛、便秘、下痢が

 起こる可能性があります。

 便は黒くなりますが、諦めてくださいね。」

「お茶やコーヒーと

 いっしょには飲まないでくださいね」

「あぁ、タンニン鉄ですね。

 お茶やコーヒーに含まれる

 タンニンと鉄が結びついてタンニン鉄になると

 身体に吸収されないんですよね」

「よくご存じですね。なぜ、知っているんですか?」

「診察を待っている間に

 栄養学の本を読んでいたので」

「それはすごい」

 

T先生の純粋な尊敬の目に、気まずくなった。

 

栄養学の本は嘘ではないが

203ページの文庫本なのだ。

 

タイトルは「毒になる食べ方 薬になる食べ方」

管理栄養士の森由香子氏が書いた本だ。

 

まずいことに

精神科医が書いた「うつ消しごはん」と

意見が違う所もある。

 

いまさら言いだせない。

 

1ヶ月後の診察までに

別の栄養学の本を読んでおこうと

心にメモした。



T先生も調剤薬局の女性も

説明は完全に一致していた。

 

私の安心感は高まった。

 

「食後に飲むと

 副作用が起こる確率は下がりますが

 効果は薄くなります」

 

念押しされた言葉も同じだった。

 

薬剤師の女性は言った。

「何かあったら、医師に相談してください」

 

T先生は言った。

「副作用がつらいなら、食後に飲んでください。

 ただし効果は半減します」

 

ある程度の副作用は

我慢すると決めた。

 

副作用を説明してまで

「飲んでください」とすすめる

 

それだけ

私の鉄分不足は深刻なのだ。

 

多少の副作用を

気にしている場合ではない。

 

身体を治すために

苦痛を耐える覚悟を決めた。

 

 

 

毒になる食べ方 薬になる食べ方 (青春文庫)

毒になる食べ方 薬になる食べ方 (青春文庫)

 

 

↓ ランキングに参加中です。

ブログランキング・にほんブログ村へにほんブログ村