第23回 友人
2019年3月1日 病院に向かう道
自己流のリハビリで
3分は杖を使えば、歩けるようになった。
私は気づいていた。
このままでは目標は達成できない。
大阪から京都まで向かい
博物館で刀を見学する
15分は歩けないと
電車での移動はもちろん
展示物をじっくり見るのも厳しい
だが自己流では
2018年秋には間に合わない。
困った末に
私はコーヒー好きの友人Pちゃんに相談した。
Pちゃんと私の共通点は
コーヒー好きだけではない。
病院たらい回し仲間でもあるのだ。
Pちゃんの病気は判明している。
理解のある医師に出会えたのではない。
医学書やネットで研究し
自分の体を改善してくれる
医師を探し出した強者だ。
Pちゃんからも
何度も病院に行けと言われていたのだが
28年の間に積み重なった不審感が
首を縦に振らせなかった。
それでもPちゃんは見捨てることなく
自宅でもできる改善法を教えてくれた。
自己流リハビリと言っても
実際は”Pちゃん流リハビリ”である。
『助けて、Pちゃん』
私にとっては
ドラえもんのような存在である。
頭は上がらない。
Pちゃんと約束を取り付けた。
私の家で会うことになった。
Pちゃんは
ため息交じりに語った。
「やっと治す気になったんだね」
「これまでのあんたは諦めていた」
「私が前に言ったことを覚えてる?」
言葉にされずとも
わかってしまった。
『病院に行け』
私の表情で伝わったとわかったのだろう
PCで地図を表示し、ある地点を指差した。
「あんたがうだうだしている間に
調べておいたよ」
「あんたの家から
タクシーでワンメーターの距離に
循環器系に強い診療所がある」
「評判がいいから行ってみなよ」
困った奴だと
Pちゃんの顔には書いてあった。
私は「ありがとう」と
頭を下げることしかできなかった。
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