第26回 見掛
2019年3月1日 病院に向かう道
診療所を調べて、びっくりした。
M先生が
過去に勤務していた病院に
驚きを隠せなかった。
”ホスピス”
命の終わりを待つ
そんな病院の言い方だ。
診療所にいる医師は
先祖や親の代からの病院が多い。
M先生もその一人だ。
他の病院で数年~10年勤めた後に
実家を継ぐ先生は珍しくない。
だが”ホスピス”勤務経験の医師は
はじめてお会いした。
私の長く重い話にも
嫌な顔ひとつされなかったのか
とても納得できた。
同時にわかったことがある。
なぜ、大病院の紹介先が多いのか?
今でも大病院で
循環器の専門家として
週2回、診察を受け持っているからだ。
なぜ平日なのに
午後休みが2日もあるのか?
この疑問の答えもわかった。
休みの日が、大病院の診察日だったのだ。
ふと、思い出した。
M先生のPC画面には
医学の論文の検索履歴があった。
最近の診察室で
PCのない病院はほとんどない。
手書きの先生でも、PCは側にある。
ここが、大事なチェックポイントだ。
PCの履歴やデスクトップは
その先生がどんな仕事をしているか
透けて見えてしまうのだ。
カードゲーム
最新のニュース
医学書の題名
ちら見えするもので
その先生がどんな人か、わかってしまう。
そしてデスクトップが
整理整頓されているかで
仕事の効率も察してしまう。
これは、医師だけではない。
どの職業でも、変わらない。
M先生のデスクトップは
見事に無駄がなかった。
履歴も
医療系の論文やニュースだった。
振り返ってみれば
地味な玄関だったが
清潔で、無駄なものは一切なかった。
あるのは
足の不十な人向けのスロープと
段差の低い階段だけだった。
自分の見る目のなさを恥じた。
友人Pちゃんの調査力を
信じなかったことを恥じた。
見掛けで判断するなんて
なんて未熟なんだろう
いや、もっとひどい
答えは目の前にあったのに
気づかずに見逃してしまった
自分の頭の固い見方に
ガックリきた。
反省の言葉しかない。
せめてこれだけは
届くはずもないけれど
PちゃんとM先生に
心からの謝罪を念じた。
誠に申し訳ありませんでした
頭を上げることは
しばらくできなかった。
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