第27回 専門家
2019年3月1日 診療所
M先生との出会いを思い返していると
診療所に着いていた。
今日も受付で、2人のお姉さんが迎えてくれる。運がいいことに、待っている人はいなかった。すぐに診察室に呼ばれた。
「M先生、病院2件分の血液検査の結果と出された薬です」
「内臓の状態を、ぼろくそに言われました。精神科では食事療法に切り替えて3年、その中でもめったに見ないひどい結果だと言われちゃいました」
「あぁ、代謝機能が落ちているね」
報告をサラッと流し、書類の情報をPCに打ち込んでいく。顔には「予想通りの結果だ」と書いてあった。
さすが38年間も原因不明だった病気を、見つけてくれた先生だ。検査結果も予想の範囲内だったらしい。ひどい数値なのだが、動揺はかけらもない。
相変わらず、頼もしい先生である。
実はM先生に相談したのは、免疫内科だけではない。精神科も、歯科も「診察するなら、どこがいいですか?」とたずねて「いいんじゃないか」と言ってもらった病院に通っている。
何でも相談できる医師ほど、心強いものはない。どれだけ調べても、患者は外部の人間である。株でいうインサイダー情報は、手に入らない。
どの業界でも、関係者しか知らない情報は必ずある。それは、表には出てこない。だからこそ、信頼できる専門家は絶対に必要だ。
健康、法律、税金、PC
この4つを相談できる相手がいると、人生の落とし穴にはまる可能性はグンと低くなる。失敗は避けられなくても、破滅は避けられる。
M先生という素晴らしい医師に出会えた、なんという幸運だろう。いや、違う。M先生の診療所を紹介してくれた、Pちゃんと友人になれたことこそ、幸運だった。
Pちゃんは健康だけでなく、法律・税金・PCにも詳しい。あまりの多才ぶりに、尊敬せざるをえない。Pちゃんにできないのは、人付き合いだけである。
万能な人はいないんだな、とPちゃんを見るたびに安心してしまう。我ながら、ひどい友人である。
M先生の診察を受けながら、Pちゃんへのお詫びの品を用意しようと考えていた。
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