歩くリトマス試験紙の反応記録

『ありのままに、ゆったりと、みんなで』

『病院スクランブル』 時間で解決できませんよ?

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『病院スクランブル』 時間で解決できませんよ?

 

2019年3月18日 自宅

 

いつもは他県にいる、父が帰ってきた。父は根っからの自由人で、トラブルメイカーでもある。年齢を重ねた結果、家庭財政にダメージを与えるような行動をしなくなったのが、せめてもの救いである。友人Pちゃんに「あんな目にあって、よく笑顔で対応できるね」と言われることもある。来年70歳なのに、フラフラしているのが納得いかないらしい。

 

父はパチンコ中毒だった。トラブルも色々あった。その傷跡は心にも、身体にも残っている。今年になって気づいたが、父と長時間いっしょに過ごせるのは一週間が限度だ。それを超えると、湿疹が出る。当時、暴力はなかったが、ご飯は満足に食べられなかった。今で言うネグレクト、育児放棄に近い。何十年も経っているのに、心身は忘れてくれないらしい。当然、父には言えない。

 

Pちゃんはそれを知っているので、父が嫌いだ。父が無意識に私のトラウマをえぐるたびに、私の倍以上Pちゃんが怒る。そして、「大丈夫だから、落ち着いて」となだめるハメになる。毎回、私の胃腸に大ダメージである。

 

父が嫌いなわけではない。大切にも、思っている。復讐する気も、過去を責める気もない。寝たきり中も、特にお金の面でお世話になった。それなのに、身体は拒絶を示している。

 

大人になるまでの期間に負った心の傷は、一生消えない。これは本人にも、どうすることもできない。無意識に焼き付いた記憶は、薄れはしても消えることはない。私は8~19歳までの記憶の多くが思い出せない。勉強や読書、アニメ・ゲームなどの記憶はあるのに、生活面の記憶がすっぽり抜けている。おそらく思い出すと精神が持たないので、主人格を守るために生まれた人格が記憶を隠しているのだろう。これが、解離性障害の一種である。

 

それでも今、生活できている。帰ってきた父に笑顔で「お帰りなさい」と言える。これは、多くの人格を持ち、記憶を失っている、解離性障害の症状のおかげである。

 

精神病がすべて、本人や周りにとって悪い影響を与えるわけではない。その症状がないと、生きることすらできない過去を抱えている人たちもいるのだ。私も、その一人だ。

 

この世から精神病患者を減らしたいなら、精神病にならなくてもいい環境を作るのが先である。環境を変えない限り、精神病が増えることがあっても、減ることはない。そして、心の傷は本人だけでは終わらない。最近の痛ましいニュースを読むたびに、考えてしまう。「憎しみは、どの過去から生まれたのだろうか?」

 

憎しみは、時間では解決しない。傷と同じで、手当をしなければ悪化する。過去の痛みを感じないのは、麻痺しているだけだ。絶望の瞬間に、麻痺が解ける。蓄積された悲しみや怒り、憎しみが爆発する。そして、思う。「どうせ死ぬなら、恨みをはらしてから死のう」そこに、理性なんて無い。自分の命も、他人の命にも価値を感じない。憎しみが、すべてだ。

 

私が踏みとどまれたのは、物語のおかげである。物語が好きだったから、生きている。それがなければ、自殺をしていた。「手遅れになる前に、死のう」ジキル博士と、同じ結末を迎えていただろう。

 

時間が解決するほど、人の感情は甘くない。そしてヤッた側が忘れても、ヤラれた側は覚えている。その復讐が、自分に直接来るとは限らない。相手に大ダメージを与えるために、大事に思っている人や関係のない多くの人たちを巻き込むことだってあるのだ。『生きる地獄』を狙う、復讐の形だ。

 

心が壊れた人のほとんどは、病院に行かない。自分がおかしくなっていることすら、気づかない。それが、その人にとっての当たり前だからだ。周りが気づかない場合も多い。気づいた時には、もう遅い。

 

絶望する環境が多ければ多いほど、痛ましい事件は増える。悲痛の中で誰かを思いやれるほど、人は強くない。環境が変わらない限り、負の連鎖は止まらない。

 

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