失敗のない成功は、堀のない城である
2019年5月4日 机の前
おのれ。家族の笑い声が突き刺さる。文章力をあげる方法のひとつは、母国語以外の修得だ。小林秀雄氏の『読書について』で紹介されていた。学ぶうちに正しいと思ったので、20年ぶりに毎日休まず英語の勉強している。そして、発音で苦闘している。下手さは自分でわかるレベルだ。最初からうまくいかないのも、わかっている。けれども細かく指摘しながら大声で笑われると腹が立つ。イマニミテイロ。
「なんのトラブルもなく、うまくいけばいのに」
「苦労なんてしたくない」
「予想外なんていらない」
一度もつまずかずに目標にたどり着きたい。挑戦する誰もが、一度は考える。世の中にはタイミングが噛み合って、トントンとなんの苦もなく達成する人がいる。だが10年後も順調な人は少ない。ほとんどの人は途中で墜落する。芸人さんでいう”一発屋”だ。適度に失敗した方が長持ちしやすい。
失敗は早めがいい。地上へ落下する高さが高いほど衝撃が大きいように、年齢や立場が上がるほどダメージがきつい。しかも受け身を知らない、起き上がり方を学んでいない問題がある。語学学習と同じく、勉強の開始が遅いほど修得率は下がる。
私のようにトラブル慣れをしていると、寝たきりから復活のタイミングで父が心臓発作で倒れても、ただ事実を受け入れるだけである。知ったその日のうちに病院と役所に電話をかけ、次の日には障害者認定の手続きに走った。遠距離で病院には行けなかったが、無事手術にこぎつけペースメーカ-が入り、元気な姿で対面できた。「身体がフラフラで動けないよ」「これから、どうしたらいいんだろう」なんてパニックになっていたら、手術すらできなかった。ペースメーカーの手術費用は高いのだ。とても出せる金額じゃなかった。手続き方法を教えてくれた、病院と役所のお姉さんに感謝である。友人たちも多くのアドバイスをくれた。
「どうすれば、人生トラブルを解決できるか?」
初めての経験でも勘が働くのは、失敗慣れしているからだ。『人生なんてトラブルの連続』と身にしみているので、動揺はしても混乱はしない。修羅場人生の最大の強みはこれだ。
失敗のない成功は、堀のない城のようなものだ。どれだけ立派でも攻められればイチコロである。自分の世代はなんとかなっても、後の世代で滅ぼされる。失敗のない経歴の人もいる。そんな人は忍者屋敷のような人だ。見えない所に罠がぎっしりあるように、陰で努力や苦労をしている。大使館タイプもいる。人付き合いで攻められる立場にならない。陰での苦労度はナンバーワンだ。目に見える景色だけがすべてではない。危機対策の元は、痛い目にあった経験だ。失敗から目を逸らさず改善を続けることができれば、城はより大きく堅固になっていく。多少のトラブルで崩れることはない。周りすべてを敵に回したりしなければ、だが。
戦のなかった姫路城は、戦のできる城だった。
<<2019年5月5日に続く>>

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