歩くリトマス試験紙の反応記録

『ありのままに、ゆったりと、みんなで』

【病院スクランブル】相談中はマインスイーパー

相談中はマインスイーパー

 

2019年5月6日 喫茶店

 

なぜか、よくグチられる。商品の値上がりや子育て、病気などの命に関わる問題など範囲はとてつもなく広い。最初は話を聞くだけだったはずが、アドバイスを求められる。「経験ないんですけど」と言いたくなる口をぐっとこらえ、知識と経験と想像力を組み合わせて、相手の反応をチェックしながら伝える。基本目標は、出会ったときより明るい笑顔でサヨナラである。初対面で泣かれるのが、最近の困りどころだ。思えばグチ聞きの始まりは、幼稚園だった。

 

「自分からアドバイスはしない」

「相手の中に答えある」

「まずは聴く」

 

相談を受ける上で、気をつけている3つのポイントだ。どんなに素晴らしいアドバイスでも、心の門が閉じていたら跳ね返される。問題の多さや不安で混乱しているだけで、ほとんどの場合、対処法は自分でわかっている。相手の状況がわからないのに、アドバイスのしようがない。

 

元々、アドバイスする気もあまりない。ある程度のトラブルは成長には必要だと感じている。だから、乗り越える経験をするチャンスはつぶさない。話を聴く時も「これで少しでも心が軽くなってくれたらいいな」ぐらいしか考えていない。それなのに「どう思う?」と泣きそうな顔で尋ねられる。深刻でなければ、「自分で考えろ」と放置することもできる。だが、切羽詰まって混乱中の人を放置するのは目覚めが悪い。

 

見たことのない幼児の食生活の向上に頭をひねり、病院の待合室で出会った人の闘病生活中の趣味を共に考え、孫へのふれあい方を指導する。

 

すべて未体験である。本来、もっと専門的な人がいるだろうと言いたい。「経験もしてないのに」「若輩者が口だすのも」「子供目線でしかありませんが」と断るのに、「それでもいいから言ってくれ」と見つめられる。欲深い眼に見つめられても鼻で笑ってシャットアウトできるが、ころんだ子供が親を見るような眼でこられると弱い。

 

仕方なくアドバイスをひねり出すが、言い方にも悩む。相手は心が弱っている場合が多い。話の組み立てを間違えれば、手助けどころか追撃になる。相手の表情を見ながら、すぐにできることを中心にアドバイスする。最大でも3つ、無理そうなら1つ、それでもキツイなら別のアドバイスをする。その過程で励ましのことばも突っ込む。泣かれるのは、だいたいこのタイミングだ。弱音も飛び出る。励ましという名のフォローをしながら弱音からみえる状況を検証して、アドバイスを修正する。笑顔でサヨナラするまで気は抜けない。相談受け中の気分はマインスイーパープレイ中に近い。どこに爆弾があるか、わからないので常にヒヤヒヤだ。

 

相談相手に選ばれるのは光栄だ。深刻な問題であるほど、信頼された証拠だ。だからこそ、絶対に守っていることがある。『沈黙』だ。初対面で二度と会わない人だろうと関係ない。プレーベートな、特に心の叫びは墓まで持ち込む。幼稚園の頃から貯まりだした相談ファイルは、アドバイスをひねりだす参考としてしか使われない。「文字の見えにくくなったおばちゃんがね」なんて、例えに出すことがあっても、その人が抱えた感情は言わない。それは個人、個人のものだからだ。

 

沈黙は、信頼への近道である。

 

<<2019年5月7日に続く>> 

3秒で心をつかみ 10分で信頼させる 聞き方・話し方

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