プレゼントの渡し方
2019年5月21日 自宅
「誕生日、おめでとう。はい、どうぞ」
「ありが、あれ?」
「どうしたの」
「3日前にも、もらたよね?」
「それがどうかしたの?」
「あ、ありがとう」
笑いを堪えるのが、大変だった。
『プレゼントの肝はサプライズ』、なんて決まりはない。だが、私は驚きを最大限に狙う。笑顔が好きだ。きょとんとした顔も好きだ。からかわれてムキになる顔を見るのも堪らない。つまり、ただの趣味である。人の反応を引き出すのが面白くてたまらない。想定通りに事が運ぶと、コブシを握りしめたくなる。人間観察は私のライフワークである。誰かの誕生日は10連勤後の休日並みに価値がある。
だからといって、本題を忘れてはいけない。メインは相手の誕生日を祝うことだ。あくまで喜ばせた上で、ビックリも提供する。
『予想は裏切るが、期待は裏切らない』
驚かせるだけなら簡単だ。プレゼントに相手の嫌いなものを贈ればいい。意外性は最高クラスだ、その後の関係に暗雲が立ちこめるだろうが。リサーチが甘くて、同じ結果になる人もいる。渡さないほうがマシという悲しい例だ。
喜ばせるのも、驚かせるのも、逆効果を避けるのも、出発点は同じだ。徹底的な情報収集である。共通の友人、知人から教えてもらう。普段の会話から好みを探る。飲食物を選びたいなら、最低1回は食事を共にする。思い込みや想像で選ぶのは、地雷原に突っ込む兵士である。
もし、必要な情報が集まらないときは撤退もありだ。センスが悪い人、気が利かない人と思われるよりも被害は少ない。何もなしは味気ないので「おめでとう」の言葉を贈る、金券カードを添えて。金券カードも情報があるなら一工夫できる。読書好きなら図書カード、音楽好きなら音楽ギフトカード、わからないならQUOカードなどだ。ゲーム好きの場合は注意が必要だ。同じゲームでも遊ぶ機器が違えば、必要なカードが違う。例えば刀剣乱舞なら、パソコン版はDMMカードだが、スマホ版はiTunesカードかGoolePlayカードだ。通信会社の契約のようにに多くの組み合わせがあるので、知らないなら手を出さないのが無難だ。
相手の好みが把握できたなら、作戦の成功率は80%を超えている。あとは喜ばせる対象を選ぶだけである。驚かせたいなら、それにひと手間かけるだけでいい。
私がよく使うのは、前もって渡す。そして、当日か後日に再び渡すやり方だ。あとに渡すものは、先のものより高めか違うものにする。贈り物ダブル、または贈り物と食事の組み合わせがハマりやすい。親しい中でなければ、先にお祝いの言葉を贈り、後日会った時にプレゼントを渡す。「誕生日の祝いは年に1回だけ」という定説を利用したサプライズ方法だ。
注意点がある。相手の負担になるものを、絶対に届けてはいけない。高すぎる、重すぎる、お返しに悩む。受け取った相手を困惑させるようでは失格だ。笑顔で気兼ねなく貰えるチョイスを心がけたい。熊の木彫りとかを送っていい相手は限られている。
「大事なのは祝いたい気持ちだ」
心から肯定する。けれども、どうせ届けるなら相手が嬉しく感じるような気持ちの届け方を選びたい。サプライズは笑顔のエンディングに到達してこそ意味がある。
喜びのないサプライズは、
見た目だけの美味しくない料理である。
<<2019年5月22日に続く>>
「ついやってしまう」体験のつくりかた 人を動かす「直感・驚き・物語」のしくみ
- 作者: 玉樹真一郎
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2019/08/08
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- この商品を含むブログを見る
↓ ランキングに参加中です。