気配りは隠密行動
2019年6月2日 電車の中
電車に乗った。長時間、立ち続けるのは厳しい。私は優先座席に向かった。一般座席を選ぶのは空いてない時ぐらいだ。なぜなら、優先座席を避ける人がいるからだ。優先座席に誰も座っていないのに、つり革につかまって立ち続ける人を見かけた。それ以来、私は乗車前チェックをするようになった。優先座席のない車両に乗ってしまったら避けようがない。電車に乗る前から勝負は始まっている。面倒だが、こちらがヘルプマークだからと席を譲るのを拒否されるよりマシである。
気配りは難しい。その場では気づかれないほどの自然さが理想だが、実現するにはコツがいる。やり方を間違えれば怒らせたり、悲しませたりする。
電車の席は悩ましい。席を譲ろうとして怒られる人もいる。譲るのが嫌で寝たふりをして気づかないポーズをとる人もいる。イザコザに巻き込まれたくなくて、絶対に座らない人もいるぐらいだ。ちなみに私は優先座席の推奨者だが、たまに席を譲っている。ほとんどの人は座ってくれるが、なかにはヘルプマークに気づき断る人いる。そんなときは、こう言う。
「急に歩くとツライので、
準備運動をしたいんですよ」
嘘も方便である。急に歩くとツライのは本当だが、揺れる電車で立っている方がもっとツライ。こんな嘘をつくのも心の安寧のためだ。真っ青な顔で身体がフラフラしている人を放置したら、罪悪感で胃がキリキリする小心者なのだ。妊婦さんも、杖の人も、赤ちゃんを抱えている人も無理だ。
だからといって、「見てられないので譲ります」なんて伝えたら相手が気にする。こちらに準備運動というメリットがあると示すことで、身体に異常がある人から席を譲ってもらう罪悪感を無くす。今のところ、成功率100%だ。なお、この言い訳を思いつくまでに10回は失敗した。
気配りは相手にわかると、心の負担になってしまう。いかに隠密で実行するかがポイントである。後から振り返って「もしかして?」と思われるくらいが最低ラインだ。無意識で出来るレベルに近づくほどバレにくくなる。少なくとも、意気込みを隠せないと即バレする。サラッと、何気なく、軽いノリで実行したい。
「お水をください」と言われたら
接客のアマチュアである。
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