通貨不安定時代の生き方
2019年6月17日 銀行前
電光板に株価が映し出されていた。今日も特に大きな変化はないようだ。10年以上前、父に「株取引をしたいから手続きよろしく」と唐突に面倒を投げられたときの癖が抜けず、定期的に経済誌やデータはチェックしてしまう。関連の本は30冊ぐらい読んだ。ローソク足は読み取れないが『FXが調子いい時は株価が下がりやすい』、その仕組みぐらいはわかる。私の拙い知識で考えても、今の状態は歪で不気味だ。嵐の前の静けさとしか思えない。
今の日本は経済の面で見れば安定している。少なくとも、明日には持っているお金が紙くずになったり銀行で引き出せなくなるほど切迫してはいない。だが、10年後も安泰と言えるほど強固でもない。それは、日本以外の国でも言える。
お金というのは集団幻想だ。現在、持っているお金が使えて、明日も使い続けられる。そう感じている人が多いからこそ、騒ぎが起こることなく日々の生活が成り立っている。逆に言えば、使えないと思う人が大多数になった瞬間に価値が消え去る。過去にジンバブエで起き、今この瞬間もベネズエラで起こっている。日本も江戸から明治に変わるとき、そして戦後に体験している。お金の価値というのは永遠ではない。
今の世の中は、まだドルを軸にして動いている。だが、そろそろ黄色信号が灯りだした。なぜ、そんなことがわかるか。Facebookの暗号通貨を執拗なまでに潰そうとしているからだ。世界会議の議題にまで出すほど、アメリカの反応は露骨だった。フランスの言葉がわかりやすい。
「国の主権が脅かされる」
これを意訳すると『国の発行する通貨に変わる存在ができたら、影響力が減るから認められない』となる。
暗号通貨が主流になれば、外貨の両替手数料やFXで潤っていた企業は潰れる。なにより国の財政の自由度が下がる。景気が悪いからお金を多めに刷って市場に流して延命しよう、なんて技は使えなくなる。特にドルの使用権で強権を奮っていたアメリカは大弱りだ。「ドル決済を認めてほしくば言うことを聞け」なんて脅しが使えなくなる。
アメリカは動くのが遅かった。ビッドコインが広がる前に潰しておけば間に合ったかもしれない。けれども国家予算を超えるほどの金額が暗号通貨に集まってしまった。その後に介入しても、時代の流れは止められないだろう。あくまで、個人的な感想だ。もしかしたらアメリカの豪腕で消滅させられるかもしれない、破滅を遅らせて傷口を広げるだけの可能性が高いが。
どの通貨が生き残るか
どの通貨が主流になるか
別の形のお金が生まれるか
まったくわからない。
個人ができる対策は貯金ではない。他人に喜ばれるスキルを磨くことだ。料理でも、絵でも、商売でも、分野はまったく関係ない。誰かが報酬を払ってでも任せたい、そう思ってもらえる能力を身につけることだ。
電気が使えなくても発揮できる知識や技術があれば、なお良い。最近の災害被害から察するに、電気の安定供給は完全とは言えない。いざという時に困らないためにも、一つぐらいは電気不使用スキルを身に着けたい。最後に頼りになるのは、自身が体得した能力と人との繋がりだ。
明日、生きている保証は誰にもない。
「明日も目が覚めるだろう」
という幻想があるだけだ。
会計が動かす世界の歴史 なぜ「文字」より先に「簿記」が生まれたのか
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