問題行動は相手の責任だろうか?
2019年9月8日 会議室
今日は”介護施設でのロボット利用について”の講演会に参加した。介護施設の方や心理学やロボット工学の教授の皆さんが順番に話され、最後に質問コーナーがあった。講演会を聞きに来た人のほとんどは、実際に介護の仕事についている人だった。現場を知っている人ならではの質問が多く、聞いているだけで勉強になった。開催者の『研究者じゃない人にもわかりやすく』という想いを感じる、すばらしい講演会だった。
ロボットの活用がテーマの講演会だった。だが、その内容はロボットの利用だけに留まらなかった。むしろロボットを通して、人間についての学びが深まった。
今回、紹介されていたのは高齢者が多い介護施設が舞台だった。国の指定を受け、開発されたロボットが試験運用されていた。そこからみえてきたのは、人間のいたらぬ点だ。
ロボットには思い込みがない。プログラミングされた通りに同じ動作を繰り返す。それが活きたのは夜間の見守りだ。いつも夜中に徘徊する人や転んでケガをする。その原因が見守りシステムのおかげで浮き彫りになった。
深夜にウロウロする原因はオムツの締め過ぎだった。企業に結果とともに開発を依頼、海外の専門家にも相談してオムツの苦しくない付け方を研究していた。結果、夜はぐっすり眠れるようになり徘徊はなくなった。
夜間に怪我する人は癖が原因だった。転ぶ映像を分析することで、ある特徴が浮かび上がった。いつもベッドの手すりが設置されている側から降りている。そして、引っかかて転ぶ。なぜ、わざわざ降りにくいところを選ぶのか?
家族に映像を観てもらってわかった。自宅にいる時、いつも手すりがある方からベッドの上り下りをしていた。その記憶が身体に染みついていたのだ。手すりのつける方向を変えることで、転んでケガをしていた人の負傷はなくなった。
見守りシステム以外にも、ロボットを利用することで解決した問題がたくさんあった。その例の数々をみて、私は思った。「なぜ、こんな行動をするのだろう?」という視点の大切さだ。
誰かが困った行動を起こした場合、つい相手を責めたくなる。何度も注意しても直らないと腹も立つ。特に介護は長時間の世話で終りがみえない。介護する側の心身が壊れるほど負担が大きい。相手を気づかう余裕は削れる一方だ。
私は小学生の頃、母の介護をしていた。1~2年ほどだったが、常に寝不足で毎日フラフラだった。「痛くてたまらない」とお酒に走る母にやり切れない思いを抱えていた。
今、振り返って思う。母も線維筋痛症だったのかもしれない。身体の痛みは医師に処方された鎮痛剤を飲んでもおさまらなかった。おまけに腎臓と肝臓も壊していた。当時は自分を痛めつけるようにお酒を飲み、暴れる母に恨む気持ちもあった。しかし、自分が抱えている痛み、もしくはそれ以上の苦痛を抱えていたのだと思うと「母も必死だったんだ」、胸のつかえが少し抜けた。
問題行動には原因がある。その原因が本人の責任とは限らない。こちらが原因の場合だってある。相手を責めても状況が悪化するだけだ。それよりも問題の原因の追求と解決に力をかける。『原因がなくならない限り、問題行動もなくならない』、今回の講演会に改めて教えられた。
相手を責めるのは楽だが
自分に原因を求めるのは難しい。
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