歩くリトマス試験紙の反応記録

『ありのままに、ゆったり生きる』

【歩くリトマス試験紙の反応記録】ヤングケアラーだったと知った日

ヤングケアラーだったと知った日

 

2019年9月28日 自宅

 

Twitterで”ヤングケアラー”という言葉に出会った。知らない言葉は大好物だ。意味と解説を調べるため検索する。ヤングケアラーの特集記事を10ページほど読んだ。どうも『介護の必要がある家族を持ち、身の回りの世話や家事などをする18歳未満の人』という意味の言葉らしい。特集記事は中学生、高校生を例に書かれていた。

 

「勉強する時間すらない」

「未成熟な体には重労働」

「誰からも助けてもらえない」

 

周りに気づかれることなく、苦しみ続ける子供たちの体験がつづられていた。読んでいて、とても他人事には思えなかった。過去の私だからだ。

 

特集記事の対象よりも幼い、幼稚園の頃から母の世話をしていた。母は腎臓病と肝臓病などを患っており精神も不安定だった。お酒に逃げる癖があり、近所トラブルもよく起こした。

 

小学校の低学年までは父もいっしょに暮らしていた。だが調理師だったので、ほとんど家にいない。朝6時には家を出て、帰ってくるのは夜10時を過ぎる。しかも休みは不定期だ。結果、母の世話や家事の手伝いを物心がつく前からしていた。

 

状況が悪化したのが小学生の時、両親が離婚した。父についていくほうが楽だとわかっていた。けれども、聞く前から諦めている母を見捨てられなかった。両親に「お母さんと暮らす」と言った瞬間、ホッとした父の顔と号泣した母の顔を今でも覚えている。

 

自ら選んだので、後悔はまったくしていない。

しかし、母子家庭でのヤングケアラー生活は

それまで以上に大変だった。

 

離婚に至るまでの体験が母の心を弱らせていた。つられて体調も悪化した。お酒を飲む量も、寝込む時間も増えた。「いたい、いたい」と泣き叫び、自殺未遂を毎日のようにしていた。柱に縄を括りつけ首を吊ろうとする。台所で油を被り火をつけようとした時もあった。とても目を離せない。勉強の時間どころか、満足に寝る時間もなかった。

 

よく困ったのが体の大きさだ。母は小柄な人だったが、私はもっと小さかった。病気持ち小学生の体格がいいはずもない。成人女性の体を小学生が運ぶのは大変の一言だ。

 

お酒代でお金が出ていくので、生活も苦しかった。「おかずは調味料」「ウナギのたれは贅沢品」「ごはんに塩が安定」、なんて日々を過ごしていた。「食事をいつしたっけ?」、そんなときもあった。

 

睡眠も、食事も、まともにとれない。

そんなヤングケアラー生活は

近所の人が見かねて父に連絡するまで続いた。

 

私は運が良かった。

 

助けが来た私ですら、ヤングケアラー時代の影響が体に残っている。原因不明の身体異常や眠りの浅さなど数え上げればきりがない。ヤングケアラーの特集記事でも、成人後に残った悪影響が語られていた。

 

肉体面や精神面だけではなく、銭面でも重荷を背負い続ける人たちがいる。勉強時間の不足による留年や受験の失敗、それが一生の収入に影響しないはずもない。学力を取り戻すのは簡単じゃない。

 

私は本好きだったので、学校を何か月も連続で休んでも勉強についていけた。もし本を読まずに母の世話だけで日々を過ごしていたら、中学校が最終学歴だっただろう。就職氷河期世代で中卒、健康面にも不安あり。仕事探しには厳しすぎる条件だ。そんな条件で生きている人が日本中にいる。

 

身体が成長する時期は、人生の土台を作る時期だ。その影響は一生続く。成人後の不摂生は10年単位でなければ取り返しやすい。だが、成長期の栄養不足や過剰なストレスに重労働の悪影響は簡単には無くせない。おまけに知識不足のまま社会に放り出される。心、体、知、すべてにハンデを抱える。このハンデはあまりに重すぎる。

 

一人でも多くの子供たちに

支援の手が伸びることを

心から願っている。

 

 

大人の世界のひずみは

子供の世界に押しつけられる。

 

〈参考〉

平成31年3月 三菱UFJリサーチ&コンサルティング

『ヤングケアラーの実態に関する調査研究報告書 』

 

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  • 作者:澁谷 智子
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2018/05/18
  • メディア: 新書
 

 

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