情報の目的を探る
2019年10月4日 自宅
これ、本音は「商品を買って」だな。いろんな本を読んでいると、たまに当たる。実践本に見せかけているが、内容は営業トークになっている。元営業職なので、なんとなくわかってしまう。たいてい10ページも読めば、売る気が透けてみえる。
不思議なのが、文章力とは関係ないことだ。売りたい感情が全開でも面白い本もある。まったく商売の匂いがなくても、再び手に取る気にならない本もある。情報の質も、同じように関係がない。読者にとっては、中身が良ければ気にならないだろう。純粋に読める人がうらやましい。
「この著者は何を伝えたいのだろう?」
文章を読むときは、いつも考える。無意識にしょう油の茶色が取れないシャツのように染みついている。おかげで映画を観るときも、人と会話するときも、相手が何を伝えたいかを考える癖が身についた。
例えば、アクション作品がある。観に来る人の目的はバトルだ。だが、監督の目的は違う。バトルの演出は手段に過ぎない。映画『ワイルド・スピード』のテーマが家族愛のように、伝えたいメッセージはバトルのカッコよさでなく思想だ。暴言が飛び交うのも、美しいモノを際立たせる効果がある。
この隠れたメッセージが厄介だ。人は気づいている存在には警戒できる。だが、みえないモノへは身構えることができない。
ある規制された技術がある。人が「映った」と認識できないスピードで、映像の隙間に商品を映す。それだけで、映った商品の購入率が上がった。サブリミナル効果と呼ばれている。コーラを映せば、コーラが飲みたくなる。アイスを映せば、アイスが食べたくなる。これほど楽な宣伝方法はない。
人間の脳は無意識にデータが入る前に、思い込みの門番の前を通る。門番が許可しなければ、無意識には入り込めない。「コーラが嫌い」と心から信じていれば、どれほど映像の中で美味しそうにコーラーを楽しいでいても、コーラを欲しいとは思わない。
だが、みえない存在は思い込みの門番にも見えない。コーラが嫌いという条件があっても、コーラを欲しくなる情報を止められない。結果、普段はコーラを飲まない人ですら買いに走る。
無意識に刷り込まれるのが家族愛なら、それほど問題はないだろう。だが、実際は悪用されている。怒りを膨らませる。憎しみをあおる。悲しみを深める。高額商品を買わされるのがかわいく思えるほど、ひどい使い方をされている。サブリミナル効果よりも、もっと巧妙に世界中で利用されている。止められる規模じゃない。
だからこそ、「何が望みなんだろう?」と考える。作り手の伝えたいメッセージを考える。そうすれば透明人間にインクをかけたかのように、みえない存在がみえる存在に代わる。存在を認識できれば警戒ができる。無意識の前にいる門番も働きだす。相手の意図をよまない限り、いつまでも踊らされる。
情報を”そのまま”受け入れる。これほど危険な行為はない。”そのまま”と”ありのまま”は違う。”ありのまま”は、情報を発信した人の本音も含めて見つめることだ。伝えられた情報の深堀りをしなければ、真意は見えてこない。だからこそ、多くの人は言う。「疑え」、と。陰謀論ほど疑わなくていい。せめて、「この情報を発信した人が得たいメリットは何だろう?」と考える。そういう癖を身につけておきたい。
凡人作家が
ウソを書いても被害が少ない。
天才作家が
ウソを書く被害は甚大だ。
そして、才能と人格は比例しない。
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