ハッピーエンドは物語だけじゃない
2019年10月9日 自宅
「やられた」
ネット小説を読みあさる。たまに予想を裏切ってくれる面白い作品に当たる。面白さと予想外はなかなか両立しない。たいていは「面白いけど展開がよめる」、「斬新だがつまらない」のどちらかだ。新しい発想は難しいものだ。未知のものは理解されにくい。知らないものを楽しませる作品を尊敬する。アヤカリタイ。
読者がすべてを予想できる話は面白くない。「使い古されたストーリーだ」と感想をもらう作品でも、面白い作品にはどこか新しさがある。読者の予想をいかに裏切るかが、書き手の腕の見せ所だ。最初の3ページで事件のすべてがわかる推理小説を読みたい人がいるだろうか?
いかに読者の予想を裏切るか?
それが書き手の腕の見せ所だ。
ただし、裏切ってはいけないものがある。
”期待”
人気キャラの死亡
主人公の消滅
全滅エンド
これらを期待を裏切らずに描く。難易度はとてつもなく高い。例えば『ドラゴンボール』は亡くなるけど復活する。『ファイナルファンタジーⅦ』で死亡するエアリスの命を失うタイミングは、別れてすぐじゃない。『ターミネーター2』では、消滅が避けられない明確な理由があった。『まどマギ』や『進撃の巨人』のように死が前提の世界観の作品もある。
作品に触れた読者が「これは仕方がない」と納得できる説明がある。しかも、感情移入をしながら説明を読んでもらえる。この2つが成り立たないとブックマークを外される。よほどの描写力がないと難しい技だ。
だから、世の中の人気作品はハッピーエンドが多い。メインキャラが生き残る作品ばかりだ。これは物語の世界だけではない。
ニュースや学術論文などは悪い情報に注目が集まる。けれども、そういう文章は一部だ。ほとんどの文章はハッピーエンドが主流だ。生活用品、食品、お店などの紹介文を眺めてほしい。こき下ろしている文章と褒めている文章、どちらが多いだろうか?
あまりに商品やサービスがひどすぎて悪評だらけのモノはある。悪評を集めた書籍がヒットすることもある。だが、ほとんどは褒めている文章だ。映画や書籍、ゲームなどの紹介もダメ出しの嵐はめったに見ない。一定して悪評が多いのは政治の話ぐらいだ。悪評を集めた書籍ですら、「事実を知ることで危険を避けられる」などと読者のハッピーエンドをうたっている。
ハッピーエンドは世界中にあふれている。それだけ、求める人が多いのだ。古代から続く物語もハッピーエンドが多い。『人間のハッピーエンド好きは本能のようなもの』と言えるのかもしれない。ならば字を書く生き物としては、ハッピーエンドを意識して文章を書きたい。どれほど薄暗い状況でも、探せば日の当たっている場所はあるものだ。
シェークスピアの三大悲劇の一つ
『ロミオとジュリエット』
この悲劇にも
憎しみ合った2つの家が和解したという
ハッピーエンドは含まれている。
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