歩くリトマス試験紙の反応記録

『ありのままに、ゆったりと、みんなで』

【歩くリトマス試験紙の反応記録】書籍『共に生きるということ be humane 』で頭の固さに気づく

書籍『共に生きるということ be human』で頭の固さに気づく

 

2019年10月29日 自宅

 

「読め!」

 

映画狂の友人がある本をプッシュしてきた。珍しい。二言目には「映画に行こう」と言う。話す度に映画の名前を挙げる友人が、本の名前を先に言うなんて。明日は雪でも降るのだろうか。思ったことをそのまま伝えたら、怒られた。当日に映画館行きを誘う行動についてほのめかしたら、黙った。日ごろのお返しだ。

 

映画狂の友人はセンスがいい。数少ないすすめられた本に外れはなかった。実は、題名を聞いた時からワクワクしていた。早速、スマホで検索する。運が良いことに、電子図書で安売り中だ。ポチっと購入ボタンを押す。ダウンロードの待ち時間すらおしい。面白そうな本は1秒でも早く読みたい。活字中毒の業だ。

 

2時間ほどで読み終えた。

感想は『凄まじい』としか言いようがない。

 

日本でボケーとしている私に、想像の及ばない世界だ。書籍『共に生きるということ be human』は、死と隣り合わせの日々をシンプルな言葉でつづっている。生々しい表現はほとんどない。感情を荒げる表現もない。それが、逆に恐ろしい。押し殺された言葉の奥に、地獄につながるような深く重い闇が横たわっている。

 

つづられてる言葉は思いやりにあふれている。だが、多くの人を救うのはきれいごとできない。理想に届かない現実への苦悩がすべてににじみ出ていた。

 

語り手は元国連難民高等弁務官の緒方貞子氏だ。多くの人を救い、称賛されている人物だ。だが、その言葉には自信を誇るところがあまりに少ない。むしろ、手が届かなかった人たちへの罪悪感や鎮魂の念を強く感じた。

 

緒方貞子氏は組織の改革者としても知られている。前例を打ち破り、慣例を打ち壊した人物でもある。勤められていた当時は、人種差別も男女差別も今よりも厳しかった。その中で組織を改革できた原動力、それは命を奪われた人たちへの償いの想いだったのかもしれない。

 

また、物事を成就するためのヒントをひとつもらった。

『手段を選ぶな!』ということだ。

 

ルールは守るものだ。これは、日常生活での原則だ。非常事態にすべてのルールを守っていたら、命を失ってしまう。例えば、水害時だ。すぐそこまで水が迫っている。急いで逃げなければいけない。横断歩道が赤信号だった。ここで交通ルールを守って信号待ちをしたら、水に飲み込まれてしまう。この場合は赤信号を無視して駆け抜けるのが正解だ。

 

その考えに至った時、なぜ友人がこの本を読めと言ったのかがわかった。

 

「あんたは頭が固すぎる」

 

私はよく友人に怒られていた。「ごめん」と謝りながらも、内心は納得していなかった。真面目で何が悪いのか。だが、書籍『共に生きるということ be human』で腑に落ちた。確かに、私は頭が固すぎたようだ。ルールを積極的に破る気はないが、もう少し柔軟に考える必要はありそうだ、と。

 

『柔軟に考える大切さを教えてくれて、ありがとう』の言葉と共に感想を伝えた。「へー、気づけたのか」「くそ真面目が少しでも変わればいいな」と言われた。イラっとしたが、今回は大目にみた。素晴らしい本を紹介してもらった代金と思えば安いものだ。

 

ただし、友人が次に横断歩道のない道を横切ろうとしたときは、腕ではなく首ねっこをつかもう。ダイジョブ、少し強めに引いてせき込んでも合法だ。危険防止措置で、裁判になっても私が勝つ。その時が楽しみだ。笑い去る友人を、穏やかな気持ちで見送った。

 

大木は竹よりも折れやすい。

 

共に生きるということ   be humane (100年インタビュー)

共に生きるということ be humane (100年インタビュー)

  • 作者:緒方 貞子
  • 発売日: 2013/12/03
  • メディア: 単行本
 

 

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