歩くリトマス試験紙の反応記録

『ありのままに、ゆったりと、みんなで』

【歩くリトマス試験紙の反応記録】聞き役はフラットで

聞き役はフラットで

 

2019年11月2日 自宅

 

(なんでかなー)

 

子供の頃から、なぜか聞き役になることが多い。見た目はチビで童顔なアニメ声、おまけに早口でよくしゃべる。落ち着いて頼りがいのある聞き役のイメージに欠片もかすっていないのに、不思議とみんな話してくれる。数時間ほど、相づちを打ちながら聞くこともよくある。初対面で1時間立ち話もマレじゃない。ワケガワカラナイヨ。

 

39年間生きてきても、なぞはひとつも解けない。だが、それだけ聞き役を続けているとわかることもある。喫茶店などで口げんかを耳にしたとき、はじめから話が聞こえていればだいたい察せられる。余計な一言で相手が激怒が理由のほとんどを占めている。

 

まず、女性でも男性でもアドバイスを求めてはいない。心の内を外に吐き出したい。ただ、それだけだ。それなのに、多くの人はアドバイスを口にしてしまう。そして、「わかりもしないくせに」とキレられ、「話を聞いてあげてたのに」とキレ返す。ここに普段の不満プラスされると大げんかになる。

 

相手がアドバイスを求めているなら、「あなたはどう思う?」「どうすればいいかな?」など、答えを求めていますシグナルを出す。口が重いタイプですら、「何かいいアイディアがあれば」とか、見えにくいシグナルを出す。シグナルが出る前にアドバイスを言ってしまうと、聞きたかった人ですら不機嫌になることがある。シグナルが出るまでは、アドバイスは口にしない方がいい。

 

また、寄り添うを勘違いしている人がいる。寄り添うは共感ではない。あまり、共感しすぎるとコチラがつぶれる。何時間も感情を揺さぶられ続けたら、コチラの気力・体力が持たない。また相手も話しづらい。気分が高まって号泣したり、激怒している人に話を続けられる強心臓の持ち主ばかりではない。

 

ある意味、お坊さんのような穏やかさが求められるのが聞き役だ。スポンジのようにやんわりと受け止める。だいたい、話の内容に賛成できないときもある。それを、いちいち反対していたら聞き役にならない。『そう感じるんですね』というフレーズなどで受け流す姿勢もいる。

 

肯定もしないが、否定もしない。フラットな姿勢が聞き役には求められる。心を許されると、とんでもない秘密を打ち明けられたり、本音をむき出しで差し出される。このとき、相手の心は無防備だ。たった一言で相手に一生のトラウマを植えつける可能性がある。だから、聞き役に回った時、私は善悪の判断はしない。そういう意味では、倫理観の強すぎる人には聞き役は向かない。

 

大人から「冷たい子」と言われるほど、私は小さな頃から冷静さを忘れられない生き物だ。そして、人の美しさと醜さ、どちらも深々と味わった。だからこそ、わかっていることがある。善悪を併せ持つのが人間で、書物に書かれているような正しい生き方なんて出来はしない。自分は未熟な人間で、他人の弱さを責める資格を持っていないと自覚している。これが、聞き役に選ばれる理由かもしれない。

 

誰かを非難できるほど、

自分は正しいのだろうか?

 

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  • 作者:東山 紘久
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