床の陥没は珍しくない
2019年11月5日 某所
「前に底が抜けてね」
自分だけじゃなかった。
すごく、ホッとした。
私は本が好きだ。ジャンルも発行元も問わない。同人誌はネットが普及する前、郵便小為替で購入だった頃から読んでいる。もちろん、書店で売っているようなISDNコードのついた本も好きだ。ペラペラのパンフレットも面白い。とりあえず、文字が表示されていれば食いつく。
電子書籍が手軽に利用できるようになった。おかげでスピース問題が解決した。それまでは、大変だった。押入れを占領して、親に怒られたことがある。親せきの倉庫に段ボール箱20個分を預けたこともある。古本屋さんに売った箱の個数は覚えていない。
これだけは確信を持って言える。ミカン箱と新聞紙が保存にはベストだ。持ち運びがしやすく、ジャンプコミックならすき間なく、他のサイズでも空きが少なく収められるミカン箱のフィット感は最高だ。新聞紙に使われているインクが虫を寄せ付けない。ホコリと日焼けと虫食い穴は新聞紙を敷き、本を入れ、一番上に新聞紙を置く。たったこれだけ防げる。10年たっても、本の劣化はわずかだ。だが、ミカン箱と新聞紙の黄金コンビでも防げないものがある。
本の重さ
これだけはどうにもならない。何度、床やタタミをへこませただろうか。どれほど柔軟な素材を敷こうと無駄だ。いずれ本の重さに踏みつぶされる。さすがに下の階に落ちるまで貯めたことはない。
『床を陥没させた人は少ないだろう』と思っていた。それは、間違いだった。Twitterの読書好きアカウントでは当たり前の現象だった。私だけが床を破壊しているのではなかった。まだまだ甘ちゃんだった。世の中には下の階まで貫通した強者もいた。私なんぞ下っ端レベルでしかない。
けれども、安心はできなかった。インターネットは同類が集まりやすい。そして、全員が本当のことを書いているわけではない。
その不安もすぐに拭い去れた。後日、まったく読書にかすらない会で仲間に出会えた。床を傷めた体験だけでなく、本屋で10時間以上の立ち読みでも意気投合した。本当に、床を粉砕する人は世の中に存在するのだ。
電子図書になって、私が床を攻撃する機会はほぼ無くなった。喜ばしいはずなのに、どこか寂しくもある。床に与えるダメージを和らげようと奮闘した日々がとても懐かしい。変わらないのは、財布に与えるダメージだけだ。
どんな思考だったとしても
同類は必ず存在する。
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