歩くリトマス試験紙の反応記録

『ありのままに、ゆったりと、みんなで』

【歩くリトマス試験紙の反応記録】映画『地獄少女』に、流行はオムライスだと学ぶ

映画『地獄少女』に、流行はオムライスだと学ぶ

 

2019年11月17日 映画館

 

「ホラー映像はダメだ」

「怖くない、大丈夫だって」

ついに、映画用の友人にホラー映画に引きずっていかれた。あれほど苦手だと言ったのに。オニー。

私はホラーは好きだ。小説とマンガは、むしろ好んで読む。今回、観る映画『地獄少女』も完読済みだ。というより、内容を知らなかったら友人を吹き飛ばしてでも逃げた。ホラー演出が少ない作品『地獄少女』だから受け入れた。

 

私は耳がいい。集中していると、まったく音が聞こえなくなるが、何もしていないときはわずかな音もよく聞こえる。そう、ホラー映画の驚かす音が苦手なのだ。無駄に想像力があるせいで音だけでおぞましい図を頭に描いてしまう。だから、音付きのホラーは苦手なのだ。小学生の頃はアニメ『ゲゲゲの鬼太郎』のエンディング曲のラスト、驚かすところだけ目をつぶっていた。

 

そんな私をホラー映画に連れ込む友人は

鬼としか言いようがない。

 

歩く速さは同じなのに

軽い足音の友人、重い足音の私は

並んで映画館に向かった。

 

観終わった。

 

最初は一部、目を背けてしまったが、中盤からはじっくり観ることができた。展開自体は原作を知っているので予想通りだった。だが、狂った人間の演出が見事だった。負の感情にとらわれた人がどういう選択をするか? とても、生々しかった。

 

ふと、気になった。

なぜ、今、『地獄少女』なのだろうか?

 

連載開始は2005年、終了は2008年だ。最後の続編を含めても、終了は2013年だ。5年どころではなく前の漫画が、映画化したのはなぜだろうか?

 

きっと、時代に合っているからだろう。

 

今の日本は負の感情が渦巻いている。就職氷河期世代の一人である私には、同年代の苦悩が届く。バブル期の好景気を見ていたのに、好景気のうまみを味わったことがない。そんな人がゴロゴロいる。『すべては本人次第』、この言葉は正しいが感情が納得する人は少ないだろう。

 

今、話題になっているブラック企業なんぞ甘い。就職氷河期の真っ最中は、問題になっているブラック企業を優しく思えるほどひどかった。今より物価も高く、それなのに給料は今より安い。コンビニの時給が600円台、その仕事すら取り合いだった。職を得ても、楽にはならない。一言でもノーを言えば退職に追い込まれる。

 

そして、経済が回復しても、自分たちに来る恩恵は少ない。未だ、手取りが10万円をきる人が多数いる。ブラック企業にいた時に心身を壊した人も多い。この状況で子育ては、先がよめる人なら選ばないだろう。自分の生活すら、ギリギリなのだから。

 

しかも、経済破綻の原因を作った世代は年金生活を楽しんでいるようにみえる。自分たちよりも、少ない年金保険料しか払っていないのに。これで、恨まない人は数少ないだろう。

 

それぞれの世代は、それぞれの苦労がある。

 

高度成長期の人たちは、すさまじい受験戦争だった。戦後すぐは、想像もつかない悲惨さだ。波乱が少なかったバブル期世代は、これからが危ない。

 

だが、自分が苦しい時は、他人の苦しさは目に映りにくい。就職氷河期世代に他の世代のことも考えろ、というのは無理が過ぎる。そして、なにかを恨んでいる限り、生活が楽になることはない。恨みを晴らす物語、『地獄少女』が人気を集めるのも当然だ。「自分が不幸になってでも、仕返しをしたい」、そんな風に感じている人が、たくさんいるのだ。


流行というのは、オムライスのようなものだ。素晴らしい作品という材料が、時代の流れに調理されると、流行という料理になる。今、生まれている料理は幸せを生むとは言い難い。きっと美味しくないのだろう。美味しい料理が出来上がる日を願ってやまない。映画『地獄少女』は、流行の地獄を教えてくれた。

 

人を不機嫌にする味のモノも、

人を上機嫌にする味のモノも、

どちらも料理の枠に入っている。

 

 

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