相手をまっすぐにみていますか?
2019年11月22日 ホテル
今日は昼食会だ。これは、勉強会を兼ねている。私は、この日を心待ちにしていた。主催者にどうしても尋ねたい、質問があったからだ。
『どういう心がけで相談を受けていますか?』
私は特別な資格を持っていない。ちょっと修羅場体験が多いだけだ。それなのに、なぜか相談を持ちかけられる。どんな相談にも、基本は応える。あいさつもない営業や、セクハラ発言は黙ってブロックするが。
「どうすれば、本を早く読めますか?」
「文章の書き方を教えて」
「お得な買い物って、どうするの?」
こういう相談ばかりなら、わざわざ相談の心構えを尋ねる必要はない。自分が行っている方法を紹介するだけだ。あくまで参考にしていただく。私の基本方針は、答えは本人の中に眠っている、だ。相談した本人が自分の中の答えに気づく、手助けをすればいい。
悩ましいのが、人生に関わる相談だ。
相手のプライバシーに関わるので細かくは書かない。ただ、命にかかわるような相談だと感じてほしい。自分が体験したことがある、いじめや相続問題に難病の悩みなら、まだ糸口が見つかりやすい。だが、子育てのように経験のないことも相談を受ける。
相談相手が自分の答えに気づく手助けをする。この方針なので、相談を受けることができる。だが、命がかかっているので、こちらの心拍数は上がっている。たとえ、表情に1ミリも動揺が現れていなくても。穏やかな顔の裏では、冷や汗がたらりと流れている。
それは、別にいい。自殺未遂を毎日のように繰り返した、母の聞き役を何年も続けていたので慣れている。問題なのは、相手に与える影響だ。相談をした人の行く末が心配だ。
だから、千人単位どころじゃない人の相談を受けた方に尋ねた。どんな心がまえで、相談を受けているか、と。
「相手をまっすぐにみて、相談を受けています」
ハッとした。
こちらの話を途中でさえぎって、アドバイスをする。そういう方は結構いる。あの態度は嬉しい気持ちにはならない。自分の成功体験を話されても、私にはできない。毎日ランニングをしている人の健康法が、立ち上がるのも毎日苦労する私にできるわけがない。その人には、その人にあった処方箋がいる。
相手の話を聴く。
相談を、いや、会話の基本である聴き方の大切さを思い出した。基本ほど、大事なものはない。すごい人ほど、基本に誠実だ。元々、抱いていた尊敬の念がより深まった。「ありがとうございます」
聴く。
これほど誰でもできそうで、実は修得が難しい能力もない。自分のものさしで判断するのではなく、相手のものさしに寄りそって話を聴く。その基本に忠実であろう、と心に誓った。
聞くのはたやすいが、
聴くのは難しい。
自己紹介でもある記事
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