こっちにメリットないぞ?
2019年12月16日 自宅
「1ヶ月だけでもいいので」
粛々と、お断りした。
家でのんびりしてたら、チャイムが鳴った。今日は郵便物が届く日なので、ドアを開けた。そうしたら、新聞の営業だった。私は就職氷河期時代に、訪問販売の営業をしていた時期がある。だから、手ひどく断る気にはなれない。さわりだけ話を聴いた。
3分でお帰りいただいた。
うん、ひどい。
ここまで、ダメな営業トークは久しぶりだ。
最初から最後まで、自分の要望しか言わない。
「すごく安いですよ」
「だから、一ヶ月だけでも」
「近ごろ、苦しくて困っているんですよ」
すべて、あなたの都合だね?
こっちのメリットがないぞ?
自分の都合だけを他人に押しつける。
そんな人を、営業職なんて呼びたくない。
契約したい気持ちが氷点下を下回った。もし、後輩がこんな営業トークをしていたら、個室に呼び出して30分は面接である。営業職の仕事はこんなんじゃない。
売りつけるのではない。
購入する気になってもらうのでもない。
商品やサービスを必要な人に届ける、その手助けだ。
営業職は、商品やサービスとお客様をつなぐ役である。それなのに、お客さまの意思を無視して利益を得ようなんぞ論外である。私なら、こういう営業トークをする。
「情報を伝える早さはインターネットには勝てません。ですが、テレビ業界よりも長く続いている新聞社だからこそ、詳しい話が聴ける相手や入れる場所があります。新聞社独自の情報は、あなたの人生のお役に立てます」
「まずは、1ヶ月試してみませんか? お役に立てなかったら、この連絡先にお伝えください。その日のうちに解約手続きをさせていただきます」
お客さまの職業がわかれば、もっと具体的に新聞の利用方法をお伝えする。お声をかけた全員と契約を結ぶことはできないだろう。だが、何人かは耳を傾けてくれるはずだ。少なくとも、自分のことしか考えていなかった営業よりは。
私は年単位、営業の職を務めた。焼肉屋さんで呼び込みをしていたこともある。だが、「買ってください」と言ったことは一度もない。 それでも、商品やサービスは売れたし、お客さまから次のお客さま候補を紹介されたことは幾度もある。お客様の要望に応える、これが営業の基本だ。
お客さまが
次のお客さま候補を紹介してくれるのは
どんなときか?
商品やサービスに満足したときではない。
自分自身が信用されたときだ。
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