印象が変わってしまう
2019年12月23日 病院
産婦人科に紹介状を書いてもらった、大病院に来ている。
病院へは電車で向かうつもりだった。
「途中で倒れたら、どうする!」
パートナーに朝一で怒られた。
結果、タクシーを利用した。
タクシーでも二人分だと、電車とあまり運賃が変わらない。パートナーの横顔から察するに、帰りもタクシーでの移動になりそうだ。私よりも顔色が悪くてどうする。待合室が混んでそうなので、喫茶店で待機してもらうことにした。
「内出血していますね」
子宮を検査した医師にコメントされた。どおりで痛いはずである。相変わらず、胎児の姿は見えない。まだ、大丈夫と言われた。さすがに3回目の不穏な申告だとショックはあまり感じない。お腹の緊張をゆるめる薬と内出血止めの薬を出してもらった。次の診察は年明けすぐだ。病院の診察開始日とバッチリ重なっている。状況のヤバさを嫌でも認識した。
さて、パートナーへの説明をどうしよう。
伝える内容は3つだ。
胎児が育っていない。
流産する可能性が高い。
子宮が内出血中で薬を出された。
どう伝えれば心へのダメージが少ないか?
ひとつ間違えれば、伝えた相手の心拍数が危険な数値になり病院に担ぎ込まれる。内蔵の一部が出血中のしんどい身体で、心臓病の人間に深刻な話をしろ。私の人生のミッションは、いつも難易度が高い。
「胎児が育ってないうえに、子宮が出血中なんだ。腹部が締めつけるような痛みもあってね、出血止めの薬まで出されちゃった。このままだと流産だって、年明けに診察の予約を入れられちゃった」
うん、どこにも安心ポイントがない。
健康な人が聞かされても体調を悪くしそうだ。
これは落第点の説明である。
「今回も赤ちゃんが見えなくてね、子宮からちょっと血が出てた。まだ判断できないから、年明けまで様子を見ようって。腹部を締めつける様な痛みがあるって伝えたら、出血止めの薬をくれたよ」
うん、こっちだな。
言ってる内容は同じだが、与える印象はソフトだ。
喫茶店で2時間以上も待たせたパートナーに伝えた。出血しているのか、と心配はされた。けれども、顔色の悪化は防げた。どうやら合格点の説明ができたようだ。安堵のあまり、ホォーと息をついてしまった。人生の高難易度ミッションクリアだ。
伝え方を変えるだけでも、受ける印象は変わる。
つくづくと実感できた、瞬間だった。
ツカレタ。
言い方は、
内容よりも重要なときがある。
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