話題になるとデマも増える
2019年12月24日 自宅
「あ?」
思わず、どこぞの世紀末覇者のような声を出してしまった。
これはひどい。
Twitterのランキングにあり得ないものを見つけた。
線維筋痛症(せんいきんつうしょう)
自分が患っているのになんだが、とてつもなくマイナーな難病である。日本で多少、知名度が上がったのはレディ・ガガさんが病気を告白したからだ。それが、なぜランキング上位になっているんだ。
明石家サンタのサポートをしていた女子アナウンサーの方が、線維筋痛症のため無期限の活動休止を発表した。
なるほど、有名人の告白で話題になったのか。納得である。活動休止をするレベルなら、おそらく全身が激痛に襲われているのだろう。線維筋痛症が発症したアナウンサーの方の病状が回復することを祈った。
さて、自分がどっぷり関わっている話題なので気になる。Twitterの投稿を見て回ることにした。線維筋痛症が注目されることは、まずないだろうから。
は?
はぁ?
はぁああああああああ?
笑えてくるほど、デマの嵐である。
「女性だけの病気だ」
男性もなっていますが、なにか?
「30代以降の女性がかかる」
子供の頃に発症する人もいるが?
「完治する方法がある」
ねぇよ。
段々と、精神が荒れくるう波になってきた。
フゥーと息を吐いて、クールダウンだ。
便乗で健康食品もどきや精神論だけを押しつけるサービスを売りつけようとする詐欺師も続出している。予測はしていたが、むかっ腹が立つ。線維筋痛症でも子供を産んだよ、とか。大変な中、日々を楽しく暮らしている同じ病気の方々の報告が心を癒してくれた。
あまりにデマがひどいので、デマ数上位の訂正をTwitterにぶん投げた。即、いいねがポコポコついた。正確な情報を投稿する人が増えてきた。それぞれ、抑えきれない怒りが透けて見える。患者自身よりも、支えている家族や医療関係者の激怒がすごい。おかげで、私の怒りが薄れていった。自分よりも怒っている人を見つけると、感情が落ち着く。人間の心理とは不思議なものだ。
人の注目が集まると、デマが増える。古代から変わらない集団の原則だ。防ぐ方法は現代になっても見つかっていない。むしろ、個人が気楽に情報発信ができるようになったのでデマの拡散は増えている。個人でできる対策は2つ、ひとつは誰からの情報だろうと疑うこと、もうひとつは後先を考えて情報を発信することだ。
信頼できる人から聞いた話だからと信じてしまう人がいる。残念ながら、情報を分析する能力と人格は比例しない。むしろ、いい人こそ騙されやすい。自分の欲のためなら他人を不幸にしてもなんとも思わない、そういう人がいるという認識がないからだ。世の中には人格者を狙い打って信じこませ詐欺の手先にする、だましのテクニックもある。
たまに、正しい情報なら何でも発信してもいいと勘違いしている人がいる。よく考えてほしい。例えば、あるグループでAさんに「Bさんが嫌いだ」とグチを言われた。これを、グループのみんなに言ってもいいのだろうか?
デマの拡散は言うまでもなくアウトだ。だが、投稿した結果起こることを全く考えずに、正しい情報だからと発信するのもアウトだ。 自分の内側から出してもいい言葉なのだろうか。しっかりと考えたい。
そんな風に理性ではわかっていても、実行するのは難しいものだ。投稿ボタンを押す寸前に、削除した文章は数えきれないぐらいある。今回も線維筋痛症のデマを流す人間への怒りの言葉を書きかけた。自分を律するというのは、苦しいものだ。
何を書くかよりも、
何を書かないかが重要だ。
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自己紹介でもある記事
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