笑顔が悲しみを呼ぶ
2020年1月7日 精神科
昨日に引き続き、今日も病院である。
月一の精神科の日だ。
他の病院での診察結果はいつも伝えている。もちろん今回も伝えた、流産と手術の可能性を。前回の診察で、主治医は我がことのように妊娠を喜んでくださった。なので、とても言いづらい。だが、黙っているわけにもいかない。できる限り、淡々と前向きな言葉を選んで話した。
すごく、しょんぼりしている。
私が明るくすればするほど、心配そうな顔をされる。
いつもは穏やかな笑顔なのに、見ていられないという顔をされてしまった。なんとか心配をぬぐいたかったが、頑張るほどに目線が悲しそうに下がっていく。適当に話を切り上げて撤退するしかなかった。
同じような表情を薬局でもされてしまった。笑顔で声のトーンも高めなのに、受付のお姉さんも、薬剤師の先生も、痛ましいという顔をされる。こちらでも、先月とても妊娠を喜んでくださったので胸がずきずき痛む。またも、逃亡することしかできなかった。
昔は笑顔でごまかせたのに。
なぜ、今回はうまくいかないのだろう?
演技力が落ちたのか。
演技力?
あぁ、そうか。
私はカラ元気だったのか。
自分の心から目を背け、強がっていたことに今さら気づいた。お腹の子を失うのが悲しくてたまらない。どれほど笑顔を生み出しても、哀しみが消えるはずもない。
もしかしたら、明るい演技は完璧だったのかもしれない。だからこそ、悲しい存在に見えたのだろう。暗く沈んでいるのが当然の状況で明るくふるまう生き物がいたら、私だって心配で仕方がなくなる。
なんという、逆効果な言動をしてしまったんだ。
できることなら、時間を巻き戻したい。
自分以外がした行動だったら、おかしいとすぐ気づけるのに。今の私は判断力すら落ちているんだな。主治医、受付のお姉さん、薬剤師の先生、3人の表情をみるまで気づくことができなかったとは。余計な心配をかけて申し訳ない。深く反省した。
笑顔を振りまくことで、逆に相手を悲しませる。そんな例は、数えきれないほどある。本人に悪気はまったくないと言わせてほしい。ただ、頼るのが下手なだけなのだ。心配かけたくない気持ちと、弱いところをみせたくない意地っ張りな気持ちからできている。
もし、そういう生き物に出会ってしまったら?
哀しそうな目で見つめる。
その視線が最も精神につき刺さる。心苦しさでいたたまれない。言葉にされたなら、まだ反論ができた。だが、黙って目線で訴えかけられると逃亡するぐらいしか術がない。もし近くに無茶するバカがいたら、ぜひ試してほしい。おそらく、私と同タイプなら口で言ってもやめない。罪悪感で追い詰めるのが有効、今回の件で嫌というほど実感した。ムネガイタイ。
笑顔はすべてを隠せるわけじゃない。
無表情よりは効果的だが。
e-hon
Amazon
自己紹介でもある記事
↓ ランキングに参加中です。