止めるタイミングで訪れる罠
2020年2月10日 自宅
「やめ……来た!」
なぜ、このタイミングなのか?
不思議でならない。
本を読むのを休もう。
動画を一時停止しよう。
ゲーム、今日はここまでだ。
なぜか、止めようとするタイミングで訪れるイベントがある。
幸運
大好きなキャラが再登場したり、ドキドキハラハラする展開になったり、ガチャで低確率のアイテムが出たりする。
これは罠である。
スナック菓子を控えようと決めた日に新商品を見つける。節約すると決めた日に大好きなアーティストのコンサートが決定する。今週末はゆっくりすると決めた日に魅力的なお誘いがある。
これも罠である。
何かを止めようとすると、なぜか邪魔をするかのように幸運が降ってくる。その幸運は、毎回、とてつもない誘惑だ。決断したことを、もうちょっと後でもいいかと思わせる。
完璧な罠である。
この幸運の誘惑に乗ってしまうと止められない。
ズルズルと現状を続けてしまう。
このパターンで最も怖いのがギャンブルや資産運用だろう。損失が積み上がり、やめなければと感じたタイミングで儲かる。そして、人は考えてしまう。うまくいけば損失をとり返せるのでは、と。冷静に考えれば、うまくいくはずもないのに。結果、ほとんどの人は損失をさらに増やし破滅してしまう。
この罠は、こちらの弱みを的確についてくる。心から欲しくなるものを目の前にぶら下げてくる。つかめば痛い目をみると頭のどこかではわかっているのに、つい手を伸ばしてしまう。ダイエット中のアイスクリームの誘い並みに強力だ。
この罠を避ける方法はただひとつ、きっぱりと誘惑を断ち切ることだ。止めるタイミングの幸運はお試しのようなものである。『心から止めたいと思っているのか?』、決意の強さを問いかけるために起こるイベントだ。クリア方法は単純、ノーと突っ返せばいい。
厄介なことに、この誘惑は何度も襲ってくることがある。大きな決意であるほど、誘惑の回数は多い。しかも、回数を重ねるたびに誘惑のレベルは跳ね上がってくる。最初はカップアイスだったのに、気づいたらアイスケーキになっている。『やってみようと考えることすらない』、この境地に至るまで少しも油断はできない。
ちなみに、私はどうしても誘惑に負ける対象がある。物語と動画とゲーム、この3つの誘惑には勝てた試しがない。やめようと決意したこともある。だが、1年足らずでより深みにハマって復帰した。一生、卒業はできないとあきらめた。
止めることを、止める。
このタイミングでは幸運は降ってこない。
人生とは誠に不思議である。
どうしても止められないもの、
それは自分にとって何よりも大切なものである。
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