不動産の相続放棄はただじゃない
2020年2月16日 レストラン
知らなかった。
今日、ここにいることに感謝した。
私はレストランにいる。毎月恒例の法律の勉強会だ。だが、今回の主目的は法律の勉強ではない。メインは別にある。
謝罪
一か月前、救急車で運ばれたとき、ご迷惑をかけた先に謝りたかったのだ。営業中に救急車を呼んでもらった百貨店と血で汚してしまったかもしれないレストランに。
すでに百貨店へは謝罪済みである。
意識がもうろうとしながらも、気合いで暗記した女性二人の名前を受付で伝え、お礼を渡してほしいとお菓子を差し出した。親切にも担当部署に連絡してくれた。たまたま休みだったようで、スーツを着た保安部の責任者の人が来た。名札に部長とか書いてある。良かった。世話になった女性二人の分とは別に、事務所分のお菓子を多めに持参しておいて良かった。互いに頭を下げあい、にこやかに別れた。接客経験者同士ではよくあるパターンである。
そして今、レストランのスタッフさんにお菓子を差し出している。気にしなくていいのに、と言いつつも嬉しそうに受け取ってくれた。この1ヶ月、ずっと気になっていたのだ。やっと、心のつかえがなくなった。
本日のメインは終わりである。
身体はまだしんどい。
実は、痛み止めで感覚をごまかしている。
耐え切れなかったら、途中で帰ろう。
その気持ちは話の内容でぶっ飛んだ。興奮のおかげで、しんどさも一時的に吹っ飛んだ。なにそれ、ひどい。
不動産の相続放棄は、難易度が高すぎる。
最低でも50~60万円が消え去る。
遺産相続でなくて、放棄で?
しかも、手続きがとにかく面倒くさい。売却できるような土地なら、まだいい。売り手が見つからない場所だと悲惨だ。家庭裁判所に申請を3か月以内でとか、素人にできるはずもない。日本中で空き家が多い理由がわかった。こんな面倒な手続きと費用をかけるぐらいだったら、最低限の費用だけ出して放置する方が楽だ。
ちなみに私は2回ほど遺産放棄に関わった。かかった費用は0円と7万円である。0円は遺産を譲る代わりに遺産放棄の費用を相手持ちにした結果だ。お金などの資産と違い、不動産はそんなに手間がかかるのか。
不動産の購入は、簡単に決めちゃいけない。
よくよく、心に刻んだ。
帰宅後、即、父に電話をした。以前に田舎で安い家を買いたいとか、知人に購入を勧められているとか、語っていたからだ。父は法律に疎い。嫌な予感しかしない。
予感は的中した。
父も不動産の遺産相続が無料で出来ないことを知らなかった。遺産放棄をすれば、簡単に国が引き取ってくれると勘違いしていた。この勘違いのツケは私に襲い掛かってくる。不動産相続の危険度を理解した父は、相談せずに不動産を購入しないと約束してくれた。人生トラブルを未然に防ぐことができた。
今日、法律の勉強会に参加して良かった。正直、家を出る10分前まで迷っていた。痛み止めを飲まないと動けない体調だ。休んだって、誰も責めたりしない。だが、かけたご迷惑の謝罪をどうしてもしたかった。気になって、気になって仕方がなかった。おかげで、有用な情報を得ることができた。
小心者な性格が役に立つこともある。
人生はなにが幸いするか、わからないものだ。
人生は偶然という名の、必然で出来ている。
e-hon
Amazon
自己紹介でもある記事
↓ ランキングに参加中です。