いきなり役所に行けない
2020年2月19日 自宅
すべて、オンラインになればいいのに。
心からの願いだ。
私は貧弱である。
ちょっとしたことで、すぐに体調を崩す。
ぜんそくと免疫異常なので、エアコンの温度調整だけでは足りない。夏は除湿器、冬は加湿器、空気清浄機も追加で24時間フル稼働だ。これでも、まだまだ足りない。パジャマの締めつけで気分が悪くなる。靴下を履かないと足裏が割れて血が出るが、普通の靴下だと足がむくんでくる。というわけで、家では浴衣着用で四国をぐるぐる何キロも歩き回る人用の足袋に似た形をした2本指の靴下を履いている。そして、椅子にはドーナツクッションと普通のクッションの二段構え、いつでも寝転べるようにベッドの準備もばっちりだ。すぐに飲めるよう、お水と薬は常にそばにある。
これだけ徹底しても体調を崩す貧弱体質だ。
外出は気軽にできるイベントではない。
ゲーム『ドラゴンクエスト』に例えると、洋服は時間でダメージを食らう呪い装備だ。適温でもなく、排気ガスやホコリに花粉だらけの外の空気に触れるのは、毒の沼地に突っ込むようなものである。はしかやインフルエンザなどのウイルスや細菌を持った存在がいるかもしれない街中は、即死魔法を放つモンスターのいるダンジョンに向かうようなものだ。狭くて、人の密集している病院などは魔王の城である。
冗談のような話だが1ミリの誇張もない。主治医からもくれぐれも人混みは避けるように、体調が悪い時は絶対に外出してはいけないと指導されている。ワクチン? 私の身体には致死量の毒である。毒性を弱めた細菌やウイルスにすら耐える体力がない。感染症の流行時は引きこもる一択である。水ぼうそうだけが唯一の例外である。
外出時間をいかに短くするか?
これが私の基本方針である。
書店や映画館などに行くときは別だが。
外出時間を短縮、この挑戦にいつも難問をかぶせてくる施設がある。定期的に行く必要があり、手続きが面倒で待ち時間が長い。ゲーム『ドラゴンクエスト』でいうラストダンジョンのような存在、それは役所だ。
一度の説明で必要な書類をすべて教えてくれず、二度手間という攻撃を与えてくる。体力というHPだけでなく、精神力というMPすら奪ってくる。外出時間が1秒伸びるごとに体力が削られる私にとっては、攻略を立てずには挑めない場所だ。どこまで滞在時間を縮めることができるか。もはや、タイムアタックである。
攻略を立てるのに絶対に必要なモノがある。これなくしては、どれだけ多くの対策を立てても何の意味もない。むしろ、これさえしっかり手に出来れば対策の80%は完了である。
情報
『正しい情報をいかに集めるか?』、すべてと言っていいほど大切だ。情報さえ集めきっていれば、必要な書類が足りないだとか、書き間違えだとか、行く役所を間違えただとか、体力の無駄づかいは避けられる。
まず見るべきは公的機関のサイトである。役所から送られてきた書類があれば、もちろん熟読する。国、県、市、この3つをチェックして大まかな流れをつかむ。
その次に、NPOや個人のサイトを複数チェックする。順番を逆にしてはいけない。個人のサイトはわかりやすく親切だが、誤った情報や古い情報が掲載されていることがある。逆に公的機関のサイトはわかりにくいが、手続きに関しては正確だ。だから、どれほど文章がややこしくても先に公的機関のサイトを読む。
最後に行くべき役所に連絡する。そして、調べた内容が正確かどうかを尋ねる。間違っていなければ、最後の質問をする。役所に訪問する日と人が混まない時間を聞くのだ、体調が悪いことを付け加えながら。このやり方で、待ち時間が短い時間帯を聞けなかったことは一度もない。ここまですれば、あとは役所に向かうだけである。
準備は楽だとは言わない。法律用語はわかりにくいし、いくつもサイトをチェックするのは面倒だ。だが、この下準備のおかげで役所での滞在時間は最小限にできる。副産物として法律に詳しくなる。たまに法律系の専門家と勘違いされる。「違います、相談者です」、債務整理の相談のため法テラスに伺った時も間違われた。黒メガネがダメなのだろうか。
健康な人は、ここまでする必要はない。だが、外出した翌日は必ず寝こむような貧弱体質にとっては、やる価値のある行動である。なにも調べずに役所に向かう行為は、ひのきの棒で魔王に戦いを挑むようなものである。そんな無謀な行動をとる気はない。オンライン手続きができるようになれば、こんな手間は必要なくなるのだが。
誰かにとって無駄な行為は、
誰かにとっては必須の行為である。
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