書籍『ソバニイルヨ』に優しさの源を教わる
2020年4月9日 自宅
なんだ、この内容は。
読んでいてイラっとした。
後半、ひっくり返されると知らずに。
友人を泣かした。
泣いている姿は見ていない。ただ、もらったメッセージに泣いたと書いてあった。私とは真逆の純粋な人なのでウソじゃないだろう。4月1日に投稿した記事を読んでくれたらしい。長文の感想が届いた。その中で、うえたさんにぜひ読んでほしい本があるとの言葉があった。ちなみに友人は出版関係者で活字中毒である。読む以外の選択肢はない。
本のタイトルは『ソバニイルヨ』、電子書籍版があったので即ダウンロードした。感染症騒ぎの真っただ中だ。減らせる配達の依頼は減らすべきだ。これが理由の30%、残り70%は早く読みたかっただけだ。1分弱で読みたい本が手元に届く。電子書籍の最大の利点である。
読み始める。
なんだ、この甘ちゃん主人公は。
人生をなめているな。
さらに読み進める。
自分のイラつきを他者にぶつけている。
ムカムカしてきた。
読むのをやめようか。
だが、優しすぎる友人が勧めてくれた本だ。
ヒドイままで終わるはずがない。
止まる手をむりやり動かす。
おっ、流れが変わった。
ふむふむ。
そこにつながるのか。
えっ、そんな終わりなの。
うん、切ないね。
気づいたら、ボロ泣きしながら一気読みしていた。友人を信じて良かった。この物語、読み終わった後の感覚がとてもいい。泣きすぎて、目や鼻の下が赤く染まったが満足だ。ティッシュで拭いすぎてヒリヒリする。人様にお見せできない顔になってしまったが、今の私はひとりだ。何の問題もない。
最後まで読んで、友人がくれた言葉の意味わかった。
『哀をたくさん知っているから、
人に優しくできるし、
人の優しさに気づくことができる』
昔から不思議だった。
なぜ、慈悲と書くのか。
だれかを助ける意味を持つ言葉に、慈しむ(いつくしむ)という単語があるのはわかる。だが、悲しみ(かなしみ)の言葉が含まれるのかが理解できなかった。悲しみは優しさには必要ないと思っていた。けれども違った。
痛み、苦しみ、絶望、虚無
いろんな悲しみを味わったからこそ、わかることがある。同じ気持ちになることはできないが、悲しんでいる気持ちに寄り添いやすくなる。ひどい目にあったからこそ、他人の優しさに敏感になる。砂漠に住んでいる人が、水を大切にするように。
友人がくれた言葉ほど、自分を優しい人間とは思えない。むしろ、あの文章を読んで優しいと感じて素晴らしい本を紹介してくれた。友人の方が、私よりもよほど優しい人間だ。
その証拠に苦しい目に数えきれないほどあった。それなのに、優しさの源が悲しみだと気づいていなかった。友人と書籍『ソバニイルヨ』が教えてくれた。優しさをしるためには深い悲しみが必要だった、と。おかげで、心に負った傷が無駄じゃなかったと思えた。
感謝をくれた友人に伝えた。
苦しかった過去を必要だったと思えた。
こちらこそ、ありがとう。
そうしたら、友人にまた泣かれてしまった。
二人そろって、目が真っ赤だ。
こういう日も悪くはない。
価格高騰中のティッシュが目減りしたことはだけは誤算だった。
共感なき優しさは、時に凶器になる。
相手は、自分ではない。
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自己紹介でもある記事(4月1日の記事)
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