病院の本気を目撃した
2020年5月26日 自宅
そこまでするのか。
静かなる熱意を感じた。
久しぶりの外出である。目的は、精神科の診察だ。病院に連絡したら、私のような貧弱体質が向かっても問題ないとの返事をいただいた。なので、テクテクと病院への道を歩いている。ちなみに、先月は電話連絡のみで薬をもらった。
ちょっと、怖いな。
私にとって、人混みは昔から危険地帯だ。今は正体がよくわかっていない感染症が流行中で危険度が跳ね上がっている。精神科は、診察予約の15分前に着いても待ち時間が発生する人気スポットである。問題ないとの言葉をもらっても、不安はぬぐい切れなかった。その光景を目撃するまでは。
自動ドアの片方が閉鎖されている。
看護師さんが3人もスタンバっている。
その手には体温計が、その奥には消毒液が。
消毒液の入った機械はセンサー式
イエス消毒液、ノータッチだ。
エレベーターで2階に上がる。
ファンシー!!!
ぬいぐるみパラダイスだ。
すべての席の真ん中に、ぬいぐるみが。
全部で30個はあるぞ。
しかも選択がかわいい。
ポケモンとか、うさぎとか、ひつじとか。
パステルカラーで目にも優しい。
なんという癒し空間、
何も知らなければ小児科と勘違いしそうだ。
待つこと10分、診察室に入る。
医師との間に透明パネルが出現している。
透明パネルは、私の身長153cmより高い。
ものを受け渡しする穴はある。
しかし、小さい。
私の拳2つ分しかない。
会計もビニル幕じゃない。
透明パネル、こちらも穴は拳2つ分だ。
『絶対に感染者は出さない』
病院の確固たる意思を味わった。
病院にいる間、私は笑顔で表情を固定していた。だが、その内心は驚きの暴風雨である。前回、診察を受けたのは1か月前である。たった1ヶ月で、これほど対策を徹底的にしているとは。どおりで、問題ないとの回答が返ってくるわけだ。いい病院に通えているご縁に感謝した。
人も、組織も、その本質が強く現れるのはピンチのときである。普段は余裕があるので、中身がどれほど悪くてもごまかせる。だが、危機が訪れれば余裕の皮が引っぺがされ本質がむき出しになる。逆に言えば、ピンチ中にしっかりしている場合は普段も信用できる。
今回の感染症の流行では、美しくない姿を多数見かけた。その中で、この病院は言葉ではなく行動で誠実さをみせてくれた。それだけで、ちょっと不安定だった精神が落ち着いた。私が通院先を変えることは、病院が変わらない限りないだろう。
精神科、ありがとう。
これからも、よろしくお願いします。
ピンチは劇薬だ。
偽りという仮面を溶かしてしまう。
この劇薬を防ぐ方法はない。
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