子が教えてくれたこと
2020年6月6日 自宅
流産して約3か月、やっと腹部の痛みが治まってきた。直後は人生で大変だったランキングのベスト3に入賞するキツさだった。しんどかった時期も穏やかに思い出せるぐらい、心身共に回復した。
子がお腹にいたのはたった2か月、妊娠に気づくのが遅かったので共に過ごしたと感じたのは1ヶ月だけだ。けれども、その1か月で多くの贈り物をくれた。
自分を大事にすること
欲張りになっていいこと
あきらめなくてもいいこと
自分が進んでいく道をもっと信じていいと教えてくれた。
物心ついたときから、我慢の多い道を歩いてきた。思うようにならない身体、大人になりきれない両親、人格に問題だらけの血縁、周りに合わせるのが私の日常だった。周囲の反応を考えずに望みを口に出したことなんて、幼稚園児の時すら一度もなかった。
ある物語に出会ったことで、自分の思うように生きていいんだと知った。それでも、幼少期に刻まれたものは抜けていなかった。自らにムチ打って生きている、その事実に気づくこともできていなかった。自分の身体から逃げることはできない。身体中の激痛、ぜんそくの息苦しさ、アレルギーで好きなものが食べられない、我慢が日常に組み込まれているので異常さがわからなかった。
お腹の子を大事にする。
そのために生活習慣を変えた。休む時間を増やし、作業量を減らした。鎮痛剤を使えないので行動も控えめにした。そうしたら、いつもよりも身体の痛みが小さくなった。ぜんそくの発作も減った。だから、気づけた。これまでの自分がどれほど無茶をしていたかということに。
子がお腹にいる間、未来のことがいろいろと思い浮かんだ。ある日、目がパッチリ開いたかのように自分の歪さがみえた。これまでの自分が先を考えないようにしていたことに。いつ死ぬかわからないからと多くの望みを切り捨てていたということに。
他にも、書ききれないほど多くを教わった。どれもこれも、子が宿らなければ気づけなかった。生まれてきたらいっぱいお返ししようと思っていたのに、仏壇に祈ることしかできないのがとても哀しい。
今でも、泣いてしまう日もある。
身体も流産の後遺症でつらい。
それでも、出会えたことに感謝しかない。
共に笑いあえなかったことは寂しいけれど。
あまりに短い時間だったけれど。
毎日、目が覚めるのが楽しみだった。
素晴らしい時間をありがとう。
あの日々を忘れることはない。
一期一会、
人と人のつながりは時間では測れない。
瞬きのような出会いが
人生を変えることもあるのだ。
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自己紹介でもある記事
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