前提が崩れた日
2020年6月19日 自宅
そうだったのか。
パートナーの発言に驚いた。
私は面倒くさがり屋である。最低限しか動きたくない。最少の労力で物事を終わらせたいタイプだ。そう、思っていたのだが。
「あんたは面倒くさがり屋じゃない。ただ、超絶に短気なだけだ」
はい?
放っておいたら、物語にしか力を使わない。
この私が面倒くさがり屋ではない、と。
パートナーの事実と違いすぎる発言、すかさず反論したが返す言葉に沈黙した。
「真の面倒くさがりは効率を良くする工夫なんてしない」
「面倒だと言いながら、同じことを繰り返すだけだ」
「あんたは遅いのが我慢できない、ただの超短気だ」
うぐっ
身に覚えはある。
作業がトントンと段取りよく進まないとイライラしてくる。こっちの作業とあっちの作業は同時進行できるとか、順番を入れ替えればもっと早く終わるとか、この作業はなくていいとか、手抜きの方法を無意識に考え出す。偶然、見つけたショートカット方法に小躍りする。脳内イメージ通りになるまでイラつきが収まらない。作業が段取りよく周りだして、やっと落ち着く。
繰り返しの作業が嫌いなんじゃない。無駄な動きが嫌いなのだ。私にとって作業はレースゲームだ。F1レーサーがタイムを競うように、作業が早く終わるほど楽しくなる。おまけに、早く終われば好きなモノに時間が多く取れる。良いことしかない。
さらに、パートナーから追い打ちがきた。
「だいたい、面倒くさがりは何もしない」
「やらなきゃいけないことも完了せずに、ひたすらダラダラしている」
「集中しすぎて、熱を出す。あんたのどこが面倒くさがり屋だ」
……もはや、何も言えなかった。
「あんたは超短気、火をつけなくても自然発火する」
「並ぶこと者のない短気だ」
さすがに言いすぎではないだろうか。
どれだけ、短気だと主張したいのだ。そこまで言われると、面倒くさがり屋じゃないにも異論を唱えたくなった。確かに、私はほとんど動かないナマケモノタイプではない。「さっきまで本を読んでいたのに、いつ仕事準備をしたの」と行動の切り替えがわからないと他者にツッコまれる生き物だ。だが、面倒くさいと思う気持ちにウソはない。面倒だという気持ちには少しの混じりけも無いのだ。ちょっと普通とは違うかもしれないが。面倒くさがり屋の亜種がいたっていいじゃないか。
その後、議論は1時間を超えた。
決着はつかなかった。
面倒くさがり屋という自分の前提が崩れたが、ムカつきで再構築できた。あまり議論で人を追い詰め過ぎてはいけないと学ぶひと時となった。
怒りのパワーというのは恐ろしい。
どれほど劣勢でも、押し返せてしまうのだから。
相手の逃げ道をつくれない。
そういう将は、いつか必ず敗北する。
たとえ、世に並ぶ者のいない強者だとしても。
自己紹介でもある記事
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