刑事『刑事コロンボ』に交渉を学ぶ
2020年8月21日 自宅
怒らせのプロだな。
素晴らしい。
「もうすぐ始まるんだが、観ないか?」
パートナーからTV視聴のお誘いが来た。基本、私はTVを観ない。小学生時代の修羅場の始まりと共にTV離れ、そのまま離れたままだ。動画はレンタル、インターネット、映画館などで楽しみ続けたが。相手のペースに合わせなきゃいけないリアルタイム放送から、自分都合で楽しめる動画視聴に自然と移っていた。
そんな私でも、たまにTVを観る時がある。それが、パートナーや父のおすすめだ。父は私とは違いTV視聴は習慣なので、知らない情報を教えてくれる。パートナーは映画狂かつ情報通なので選択センスがいい。自分の足りなさを補えるので、体調が悪くない時はお誘いに乗っかる。
今回のお誘いはドラマ『刑事コロンボ』だった。体調はまぁまぁ、謎解きが好き、ドラマ『刑事コロンボ』は好きなシリーズだ。断る理由がない。喜んで自室を出て、パートナーのいる場所に向かった。お隣さんというのは、こういう時に楽でいい。
視聴中
うん、見事だ。これほど犯人を怒らせる推理側は珍しい。『湯川学』『古畑任三郎』『金田一耕助』『ポアロ』『シャーロック・ホームズ』など、推理に怒りは定番すぎるほど定番だ。それでも、刑事コロンボの犯人を煽る技はひとつ抜けていると感じる。
「なぜ、相手を怒らせるのか?」
怒りは、最も冷静さを奪う感情だ。ついつい、理性が外れて隠し事をポロっと口にしまう。頭は冷めたまま激怒するというタイプもいるが、どちらかと言えば少数派だ。怒りで理性を失いボロを出す。漫画『金田一少年の事件簿』や漫画『名探偵コナン』でもこういう所は同じだ。
相手を怒らせて、優位に立つ。
この方法が使えるのは、相手の秘密を引き出すときだけではない。交渉でも有効な方法だ。推理も交渉の一種と捉えることもできる。怒りというのは冷静さを奪うだけではない。感情に飲まれれば思考力すら下がる。そして、怒りは喜怒哀楽の中で最も振り回されやすい感情だ。相手を自由に怒らせることができる。これは、相手をコントロールしているのに近しい。
ただ、この技はやりすぎると危険だ。哲学者ソクラテスは議論で負けなしだったが、多くの人間の恨みを買った。結局、死刑を宣告され毒杯を自ら呷るハメになった。怒りを憎しみまで進めてしまうと、逆にマイナスに回る。
コロンボが相手を怒らせるのは、あくまで仕事だ。そして、仕事が完了すれば相手は牢の中だ。憎まれても復讐される危険性は低い。出所後に襲われる危険性はあるが。少なくとも、刑事だからという言い訳は立つ。
それに、ドラマ『刑事コロンボ』では最後にはさりげなくフォローが入る。犯人が笑うしかなくなるような絶妙な発言が多い。憎み切れないキャラというのは、こういう人なんだろうなと感心する絶妙さだ。
現実の交渉でも、これが大事である。たとえ、この交渉が会う最後だとしてもどこで縁が繋がるかなんて人にはわからない。交渉中に怒らせたとしても、最後は笑顔で別れるような対応が必要だ。「こちらが有利で終わった」と相手に思わせる締めにできればベストである。実際は違うとしても。
ドラマ『刑事コロンボ』
学ぶところが多い、とても面白い作品だ。
こういうひねくれた見方をする者は少数だろうが。
視聴者が楽しんでいるんだから、いいじゃないか。
とにかく、パートナーよ。
楽しい時間をありがとうございます。
タフな交渉だ。
よし、まずは相手を怒らせよう。
それが、主導権をとる近道だ。
自己紹介でもある記事
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