医師のアドバイスに助けられた話
2020年10月16日 自宅
あの言葉が無かったら。
もっと、沈んでいただろうな。
お腹が痛い。
産婦人科の診察で、子宮内膜症と子宮筋腫がわかった。様子見が現状ではベストらしく、通院先が増えなくてラッキーと思っていたら。「子宮がん検診をされたことがありますか?」と聞かれた。「ありません」と答えたら、「検査しておきましょうと」と子宮の細胞の一部をとられた。そのときに、腹痛が一時的にひどくなることもあると言われた。
うん、明らかに痛みが強くなっている。
ただでさえ、子宮内膜症の腹痛と線維筋痛症の全身痛による痛みのコラボが日常なのに。そこに、検査をするためとはいえ子宮に傷がつきましたの追加がきた。ちょっと出血もした。予告されていたので意外性はないが。痛みが強くなると、どうしても体が動きにくくなる。慣れてはいても、思考能力も少々落ちる。まぁ、この痛みはそのうち治るとわかっているだけ気は楽だが。健康な人と比べて、傷の治りが遅いとしても。
今回の子宮がん検診に限らず、こちらの産婦人科医はフォローがうまい。昨年12月に医師のアドバイスにより、大病院へ妊娠中の受診先を移した。おかげで、救急車で運ばれる事態になってもスムーズに話が進んだ。
もし、大病院に移っていなかったら。
流産した日は日曜日だった。救急車を受け入れ先の病院ですら、平日ほどは稼働していない。しかも、外出中に服が赤に染まるほど流血した。人生初の流産で心身ボロボロ中に、まったく知らない自宅から遠い病院には運ばれる可能性が高かった。私は治療に気をつかう病気をいくつも抱えているので、初診時は説明がとても面倒くさい。看護師さんに渡される用紙に病歴の書く場所が足りなくなるほどだ。おまけに医師に絶句されるほどひどい貧血が見つかり、現在も治療中である。副作用ありの錠剤を1年以上も飲み続けても鉄分が正常値にならない。ちょっと油断すると赤血球の数が減ったり、小さくなるほど血が薄くなる。傷が治りにくい理由のひとつだ。そんな生き物が多量出血中に事細かい説明をするハメになるところだった。修羅場慣れしているので、問題なく説明はできるだろうが。避けられるなら避けたい事態だ。
そんな修羅場を産婦人科医のアドバイスで避けることができた。これだけでも、十分すぎるほど有り難かったが。事前のフォローはこれだけではなかった。
流産の予告
こちらが受け止めやすい言い方だったが、はじめて診察を受けた日に流産の確率が高いこともしっかりと説明してくれた。『私の体の弱さが流産の原因ですか?』という意味の質問を投げたら、「母体の健康に関係なく、育ちにくい受精もある」と教えてくれた。
先生、それ否定してませんよね。
話を逸らしただけですよね。
その場で気づいたが、医師の思いやりを感じたので言葉にはしなかった。医師の言葉は流産の予告というより予言だった。その日に説明されたシチュエーションそのままが現実になった。救急車で運ばれることも、大量に出血することも、胎児が育たないことも、すべて的中していた。ベテラン医師の凄みを感じた。
流産の可能性を指摘されたときは泣きたくなるほどショックだったが。事前に覚悟していたおかげで、外出中に動けなくなるほど流血したときも冷静さを保てた。あまりに冷静に対応しすぎて、初対面の女性二人に「周りのことはいいから、もっと自分を大切にしなさい」と叱られてしまったが。パニックになるよりはよっぽどいい。最も危険なのは、流血中に意識を失うことだ。興奮状態は意識が覚醒すると思われがちだが。実際は逆だ。プチンと糸が切れるように意識を失う例が少なくない。どんな危機的状況でも冷静さが結果を分けるのだ。
医師の経験豊富なアドバイスにより、
流産により発生する多くのトラブルを未然に防げた。
事前のフォローに感謝の言葉しかない。
いつか、お礼の言葉を伝えたいと思っていた。なので、産婦人科での診察はいい機会だった。子宮異常により腹部の痛みがとれないのは困りものだが。この一点だけはとても都合が良かった。今年1月に流産した日から、ずっと気になっていたので。
予期せぬトラブルか。
哀しい結末だとしても、事前に予測できているか。
この差はとてつもなく大きいのだ。
どうせ、更年期障害で産婦人科にはお世話になる可能性が高い。実生活に訪れる前に、信頼できる産婦人科医に出会うことができた。へっぽこな体ゆえ、治療を間違われるとダメージがでかい。いくつも病院を回る体力もない。これも、妊娠がくれたプレゼントのひとつだ。
プラスだけのイベントはないが、
マイナスだけのイベントもない。
人生は、そういう風にできている。
最も価値ある提案は、
トラブルを解決するアドバイスではない。
トラブルを起こさせないアドバイスだ。
自己紹介でもある記事
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