歩くリトマス試験紙の反応記録

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【歩くリトマス試験紙の反応記録】映画『ロケットマン』に専門家の弱さをみる

映画『ロケットマン』に専門家の弱さをみる

 

2019年9月12日 映画館

 

「あんたは絶対、好きなハズだ」と映画狂の友人に引きづりこまれた。「せめてタイトルぐらい教えてくれよ」と思いながらたどり着いた先に映画『ロケットマン』が待っていた。さすが行動は非常識だが審美眼は外さない友人だ。私の好みをよく理解している。ちなみに私は音楽もノージャンルだ。最近ハマっているのはSum41の『Still Waiting』、激しさと切なさを兼ね備えた旋律がいい。

 

天才はもろいな。

 

映画『ロケットマン』をみて、つくづく思った。天才、特に芸術系の天才で人付き合いが得意な人はいない。得意そうにみえても表向きだけで、内心は解けかけの氷のように壊れそうな心を抱えている。なぜならば、そこまで感性が繊細でなければ歴史に残るような作品は生み出せないからだ。

 

主人公であるエルトン・ジョン氏も人付き合いでピンチに何度も陥っている。映画『ボヘミアン・ラプソディ』で主役だったフレディ・マーキュリー氏と同じく、凄腕の詐欺師に騙されている。傍から見てれば騙されているとひと目でわかるのに、本人は気づかい。多くの悲劇のように、どこまでも喜劇的だ。

 

幼少期から才能を見いだされた人は、人間のえげつなさに触れる機会が遅い。欲に駆られた生き物がなんでもすることを知らない。しかも忙しすぎて広い人間関係をつくる時間もない。絶望に落とされるのが約束されている人生だ。そこで、絶望を味わう前よりすごい作品を生み出す天才と潰れる天才に分かれる。どちらが多いかは、名前が残った人の数に現れている。もし立ち直る人が多ければ、エルトン・ジョン氏のように映画化されることはなかっただろう。

 

映画を観ながら、疑問が湧いた。

騙されやすいのは天才だけだろうか?

いや、専門家も危ない。

 

一流の専門家になるには、多くの時間が必要だ。その時間分、様々な人間関係を築く時間も遊ぶ時間もない。つまり、頭が専門分野の常識に染まってしまう。専門家に慣れる人は頭のいい人が多い。だからこそ、「騙されるはずがない」と思い込んでいる。そして、専門外の分野で騙される。

 

専門家でなくても、幼少期に「頭がいい」と褒められた人も危ない。勉強やスキルの修得が早くなるメリットがある。だが、傲慢になりやすいデメリットがある。これは統計にきっちりでている。最も騙されやすいのは、「自分は騙されない」と思い込んでいる人だ。私はビビリなので騙される可能性は常に考える。おかげで小学生の頃に「子供らしくない」となじられた。

 

専門分野だって油断ができない。近年は情報の更新が早い。フィッシングメールはいい例だ。昔のフィッシングメールはアドレスも偽物、本文も嘘くさかった。『アドレスを確認しろ』が基本対策だった。それが今では本家のアドレスでメールを送ってくる。昔、ネットセキュリティに詳しかった人ほど騙される。「専門分野だから大丈夫」なんて過信が許される時代じゃない。

 

『騙される危険からは誰も逃げられない』という恐ろしさ

『絶望に落ちた時に支えてくれる人』の尊さ

『苦しんだからこそ表現できるもの』がある現実

 

映画『ロケットマン』に創作者の人生の厳しさを学んだ。天才だろうと、秀才だろうと、凡人だろうと人生で苦しむのは変わらない。選べるのは自分の言動だけだとつくづく感じた。たとえ騙されたとしても、どんな道を歩むかは自分次第だ。

 

絶望を

成長の種にするか。

足かせにするか。

自分だけが決められる。

 

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