歩くリトマス試験紙の反応記録

『ありのままに、ゆったりと、みんなで』

『病院スクランブル』 第12回 消沈

第12回 消沈

 

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2019年2月27日 免疫内科

 

空気が重い。

 

営業職時代の人格も

去ってしまった。

 

主人格の私は

営業の私ほど、強くはない。

 

U先生の顔が見られない。

1秒が1分に感じる。

 

いつまでも

下を向いていても仕方がない。

覚悟を決め、顔上げた。

 

しょんぼりしている

 

U先生がしょんぼりしている

 

空気が暗いのは

怒っているんじゃない。

落ち込んでいるんだ。

 

不機嫌になるかもと思っていたが

へこんでしまうとは思わなかった。

 

U先生の真面目さを

なめていた。

 

このパターン、知っている。

 

友人だと思っていた

生命保険の営業職員に

騙されたと気づいたお客さんだ。

 

早く空気を変えなければ

どこまでも泥沼に沈むパターンだ。

 

カモーン、営業職の私

 

幸いなことに

営業職の私は帰ってきてくれた。

 

「”うつ消しごはん”は購入したので
 販売ページのコピーはいらなくなりました。

 良かったら、参考にお持ちください」

「ありがとう」

「血液検査の結果、どちらをコピーされますか?」

「2枚は同じ数字が書いてあります。

 片方は書き込みあり、もう片方は書き込みなしです」

「確かに、こちらをお借りしますね」

 

U先生は書き込みのある

血液検査の結果を持っていた。

 

今回も看護師に頼むことなく

自分でコピーをしている。

 

U先生は戻ってきた。

 

血液検査結果のコピーと

”うつ消しごはん”販売ページのコピーを

色つきのファイルに仕舞った。

 

U先生、研究する気だ

 

精神科という他分野の医師に

自分の専門である免疫について

口を出された。

 

それなのに怒ることなく

患者から渡された資料で

学ぼうとされている。

 

U先生への、尊敬が高まった。

 

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