『病院スクランブル』 空気なしで生きられますか?
2019年3月19日 自宅
父を駅で見送った後、まっすぐ家に帰った。家に入った瞬間、頭が重くなった。気づいていなかったが、ずっと緊張していたらしい。一人になって、気が抜けたようだ。
ベッドに横になりながら、今日観た映画『運び屋』について思う。派手なシーンはまったく無かったのに、映像が頭を離れない。特に花のシーンは目に焼き付いている。
最初の花は、品評会に出すものがメインだった。鮮やかで大きく、舞台のお祝いに贈られるような、だれが見ても「美しい」と言うであろう、見事な花だった。最後のシーンで写った花は、小さく色もバラバラで、家庭の庭で素人が育てたような、売り物になりそうにもない花だった。最初の花と同じ種類とは思えない、地味な花だった。
だが、その地味な花が
品評会で1位をとった花よりも
輝いてみえた。
大事なものは、家庭料理のようなものだ。側にある時は、重要に思えない。高いランチや通販の特産品の方が、素晴らしく感じる。転勤や離婚、死別などで食べられなくなって、気づく。大切な人に作って貰った料理が、どれほど温かかったか。味や品質は、プロにはかなわない。だがそれ以上に、心のこもった料理は貴重だ。お金を出しても、手に入らない。
幼稚園の時、母が毎日お弁当を作ってくれた。キャラ弁のようにこったものではないが、私の健康と好みを考えてくれた。その味を、今でも覚えている。引っ越しばかりで故郷がない私にとって、料理の思い出が帰る場所だ。
失ってしまえば、戻らないものは多い。そういうものに限って、気づきにくい。空気がなければ、人は死んでしまう。大切な人がいない、人生は虚しい。それは、お金や名声では埋まらない。
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