歩くリトマス試験紙の反応記録

『ありのままに、ゆったりと、みんなで』

『病院スクランブル』事実は完成されたパズル

事実は完成されたパズル

 

2019年4月8日 自宅

 

寝転びながら、ネット小説を読む。書籍のように、文章の長さは決まっていない。誤字脱字だって、数え切れないほどある。だが面白い。ネット小説サイトに投稿する人の多くは、文章を書くのがメインの職業ではない。だから文章の隙間から、あらゆる職業の経験が溢れ出している。小説の世界を旅しながら、自分では味わえない世界の情報に浸れる。私にとって、ネット小説はどこでもドアである。

 

事実をしることは不可能だ。いろんな情報をかき集めて、足りない部分を想像する。分析しながらまとめた完成図も、事実と比べればズレがある。限りなく事実に近づくのが、個人の限界だ。

 

事実に近づこうとする前に、することがある。自分の思考の癖を知ることだ。考え方に偏りがあるのは当然だ。だが、どう偏っているかがわからなければ事実から遠のく。人間の脳には、自分を守る本能がある。自分に都合の悪いことは見ないふりをしたり、現実とは違う事実だと思いこむ。3D眼鏡を通して見た色を、本物の色だと思いこむ。

 

人間は皆、ゆがんだ色の入ったメガネをかけている。事実に近づきたいなら、デジカメで撮った写真を補正するように、色彩バランスや解像度をイジる必要がある。そうでなければ、合わないピースを無理矢理はめ込んだパズルになる。完成図とは違うパズルが出来上がってしまうだけだ。

 

発信者の思想や職業、なにより目的を見抜くのは重要だ。しかし自分自身の現在地や思想、好みの自覚はもっと重要だ。「自分は正しい」「自分は公正だ」「自分は正常だ」と思っていると、段々と視野が狭くなる。自分が観ているのは世界のほんの一部だ。だからこそ、他者との交流がなければ事実から離れる。

 

灯台の足元は、中からは見えない。

 

<<2019年4月9日に続く>>

 

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