歩くリトマス試験紙の反応記録

『ありのままに、ゆったりと、みんなで』

【歩くリトマス試験紙の反応記録】年下に聞かんとわからん!

年下に聞かんとわからん! 

 

2020年2月21日 喫茶店

 

 今日は、珍しく外出している。

薬を受け取るためだ。

 

そして、ばてた。

 

たった15分の移動で体力が尽きかけだ。こういう時は無理せず、休憩に走る。2か月連続で救急車のお世話になる気はない。時間は正午、昼ご飯を食べるにはいいタイミングだ。ちょうど視界内に喫茶店がある。10年以上前から知っているが、 入店したことがない。ランチメニューに好物のオムライスがある。入る以外の選択肢が消えた。

 

カラーン

 

「いらっしゃいませ」

 

女性が二人、カウンター内にいる。この二人でお店を回しているようだ。調理も、接客も手が空いている方が行う。常連さんが多いお店のようだ。

 

なぜ、入ってすぐにそんなことがわかるか?

 

二人の『いらっしゃいませ』は、どちらも接客担当のトーンだった。料理専門の人間にあの柔らかなトーンは出せない。調理は片方が卵の殻、片方がフライパンを持っていたので考えるまでもない。そして、カウンターにいる学生さんが奥の席にいる会社員に注文を聞いている、軽い口調で。しかも、服装がどう眺めても店員ではない。お客さんが忙しそうだからと代わりに注文を聞く、そういうお店の常連さんが少ないはずはない。

 

いいお店のようだ。

 

スッと私はカウンターの席に座った。ひとりで4人席を占領するつもりはない。なにより、私はカウンターが好きだ。スタッフさんが働く姿を眺めたり、ちょっとした会話をするのが大好きだ。ひとりでお店に入った時は、いつもカウンター席に座る。喫茶店だけでなく、居酒屋でも。

 

カウンターの真ん中ぐらいの席に座る。注文を聞いた学生さんが戻ってきた。お店の人と、あれやそれの固有名詞なしで会話が進んでいる。どうやら大学生で、3駅先の大学に通っている。この店は何年も前から常連で、もうすぐ同じく常連の友人が来るらしい。別に聞き耳をたてたのではない。聞き取りやすい声なので、よく耳の中に音が入っただけである。

 

カラ、ラーン

 

焦った雰囲気で若い男性が入ってきた。なんか顔色が青く、雰囲気がしょんぼりしている。笑顔で迎える学生に衝撃発言が発せられた。

 

「試験に落ちた」

「追試は来月、落ちたら卒業できない」

「内定が決まっているのに、会社にどう説明しよう」

 

店中に聞こえているが、大丈夫か?

動揺のあまり、プライバシーとかすっ飛んでいるようだ。

 

「まぁ、座れよ」

「水でも飲んで落ち着け」

 

こっちは合格したんだな。

軽く見せかけているが、こやつ面倒見のいいタイプだ。

次世代リーダーの卵である。

 

しょんぼりした友人を、軽い口調で必死で力づけている。お店の女性も参戦した。ダメだ、効果が弱い。この様子だと追試で落ちるのは確定だ。ちょっと、おせっかいをすることにした。

 

3分後

 

無事、元気になった。

お互いをからかいあい、笑いあっている。

臨時3人チームによる励まし作戦は成功したようだ。

 

私の修羅場持ちネタは3桁は余裕である。たいていのピンチには対応可能である。追試を食らったことはないが、何とか対応ができた。安心したようで、内定した会社へ追試の報告をするようだ。ファイト。

 

「ありがとうございます」

 

合格した学生さんにお礼を言われた。

友人のいないスキにサラッとお礼を言うとは。

周りの心を気づかえる人のようだ。

 

次世代リーダー決定である。

こういうタイプは周りが放っておかない。

自動でリーダーになる。

 

将来有望な若い人に出会えるとは。なんて運が良い。あちらも、こちらと会話を続けたそうな雰囲気だ。望むところである。

 

情報交換で30分が経過した。

 

なんてしっかりとした人物だ。先々まで、綿密に何パターンも考えている。経済や法律について、喫茶店で語り合えるとは予想外である。経験豊富な喫茶店の女性経営者も交え、実りある情報交換になった。

 

やはり、年下に話を聴くのはいい。

 

以前に美容室で20代の男性に話を聴いた。

その人は言った。

 

「海外旅行は高い」

 

私が20代のときは猛烈な円高で、海外旅行が安かった。むしろ、国内旅行が高いイメージだった。それが、20年足らずで完全にひっくり返っている。イメージが真逆にあっていることを、鈍い私は気づいていなかった。

 

時代は変わり続ける。今の流れを最もわかっているのは、大学生までの人たちである。なぜならば、世間の時代からズレた考えに染まっていないからだ。社会に出れば、多かれ少なかれ、古い感覚に染まってしまう。水にペンキが混ざる前の、真水な情報は社会人に聴いてもつかめない。できるならば、0歳児に話を聴きたいぐらいだ。

 

カラーン

 

「ありがとうございました」

 

予定よりも30分も長居した。それだけの時間を使う価値は十分にあった。家から15分圏内に、年下から気軽に話を聴ける場所があったとは。今まで気づかなかったとは、不覚である。まぁ、いい。いい場所を見つけたことだけ覚えておこう。私は明るい方を選んでみると決めている。だから、今日はいい日なのだ。

 

なお、長居した結果は体調に現れた。

帰宅後に発熱、家族に説教された。

 

それでも、私は今日はいい日だったと言い張る。

 

 

わからないなら、わかる人に聴けばいい。

すぐに答えを得られる。

 

聴く相手を間違えなければ。

 

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