トラブルは戦上手
2019年11月13日 病院
長い。
待ち時間が、長い。
いつもなら、30分ほどなのに。
今日は1時間が経過しても、まだ待たされている。
冷や汗が背すじを流れる、そんな感触がした。
やっと、終わった。
まさか歯医者で3時間半も拘束されるとは。
正直、途中で吐きそうだった。
だいたい、なんで待たされるのが今日なんだ。せめて1か月前なら、ここまでツラくなかったのに。めまいがするほど、体調が悪い。おまけに通院2日連続なので疲れている。歯医者までの移動時間はいつもの1.5倍だった。よりにもよって、なんでこのタイミングで混みあうのか。
わかっている。イライラしても仕方がない。元々、評判の歯医者さんだ。暇な時を見たことがない。予約をしておかないと、緊急性がなければ当日診療を断られる。今日はたまたま緊急が3人発生しただけだ。
受付の方に何度も謝られた。倒れそうな体調を分厚い仮面に隠し、「これがあるので平気ですよ」と文庫本を持ち上げた。主治医にも「待たせて、申し訳ありません」と頭を下げられた。「先生が信頼されている証拠ですよ」とにこやかに返した。我ながら、見事な詭弁だ。ウソはひとつもないが、本音をひとことも口にしていない。この程度で私の演技を崩せはしない。
なぜ、苦情を言わないのか?
相手のせいじゃないのに、責めてどうする。そういう八つ当たりは好きじゃない。それに、トラブルは重なって起こることを身をもって知っている。ちょっと家で倒れるぐらいは大したことじゃない。
厄介なトラブルほど、まとめてくる。問題が深刻であるほど、何十にも重なって連続で襲ってくる。単体で来るトラブルはまだかわいい。『やっと解決した』と気を抜いた瞬間に横から殴られる。トラブルほど、戦上手な存在はない。
防ぐ方法はただひとつ、完璧に解決するまでは気を抜かないことだ。常に最悪を想定し、前向きに対処する。ポジティブだけでも、ネガティブだけでも駄目だ。ポジティブだけだと、準備不足でつぶれる。ネガティブだけだと、気力・体力が最後まで続かない。両方の視点が必要だ。
どれほど、小さなトラブルにみえても油断ができない。小さくみえるトラブルほど、一度火がつくと熱した油に水をかけた時のように爆発する。被害は最悪の予想すら超えてくる。トラブルの火種は、見つけた瞬間にガソリンをかけても燃えないほど徹底的に消しておくものだ。
用心している場所ではなく、
無警戒な場所に襲いかかる。
それが、人生トラブルだ。
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