言い出しっぺはツラいよ
2020年3月24日 自宅
政府が非難されている。
東京都も非難されている。
オリンピック委員会も非難されている。
『なぜ、オリンピックの開催を言い続けるのか?』
感染症が広がっているのに、万単位で人が動くイベントができるはずもない。専門家じゃなくても簡単に想像がつく。今は3月、オリンピックは8月、期限は迫っている。中止の発表が遅れるほどダメージがでかくなる。なのに、なぜ決断しないのか。
決断しない方が得だから
とても単純な話である。全体でみれば早く決断した方がプラスだ。だが、組織や個人の立場だとぐだぐだしている方がプラスなのだ。特に、延期や中止の言い出しっぺにはなりたくないだろう。「そこまで言うなら、キャンセル料を多めに出してください」と言われるのがわかっているからだ。オリンピックのキャンセル料は億単位だ。感染症の対策でお金がかかり、景気悪化が確定している。できるだけ、お金は出したくない。つまり、個々の利を優先している結果、全体の利が傷つけられている。哀しすぎる展開だ。
このような『言い出しっぺは損』はよく発生する。日ごろの生活でも、一人じゃなければ、どんな場所でも起こる。
部屋が散らかっている。
貯金が少ない。
コピー用紙がない。
口に出した瞬間に、まず言われる。
『気づいた人間がすればいい』
負担が増えるだけなら、まだ可愛い。すべてを押しつけられることも少なくない。こういう状況だと、言えば言うほど損なので問題点を誰も言わなくなる。見かねて行動する人も、そのうち疲れ果てて去っていく。結果、すべてが壊れる。家庭や組織でよくある話だ。壊れそうになってから焦っても遅い。それまでの言動で信頼が失われているので、崩壊を止める事はできない。
この状況を変えるのは困難だ。個と全体の利が一致するようにすればいい。口にするのは簡単だが、実行するのはとてつもなく難しい。なぜならば、個と全体の利益は完全には一致しない。
散らかったままでいい人にとっては、片づけに何のメリットもない。貯金の額を気にしない人にとっては、節約は苦痛でしかない。コピーを他人に頼める人にとっては、コピー用紙の補充の手間は無駄に感じる。全体が良くなっても、自分に損しかないならばやる気にならない。だから、『気づいた人間がすればいい』という発言になる。
これをひっくり返すのは簡単じゃない。あの手この手で説得する必要がある。その結果、会議が長くなる。決断が遅くなる理由のほとんどはコレだ。この時間をゼロにはできないが、短くする方法はある。
失われるデメリット
現状が崩れた世界を伝える。
散らかったままでいい人も、ごみ屋敷で住める人は少ない。貯金ゼロで気にならない人も、家無し生活で平気な人は少ない。コピーをしない人も、コピーが出来なくなったら困る人が日本ではゴロゴロいる。
このデメリットを強調する方法は、メリットのアピールよりも効果がある。人間は面白いもので、より良くよりもより悪くに強く反応する。現状が崩れますよとささやけば、相手の心が揺さぶられる。その揺さぶりを上手に突っつくと、イエスが得られやすい。
みんなのために
より良い世界のために
これで何でも動くほど、世の中は美しくはない。現在は、欲を中心に人間世界は回っている。嘆いても、わめいても、現実は変わらない。大事なのは結果だ。より良い方向に進むよう、相手が心惹かれる提案をする。相手に1ミリの興味もない話を100語るよりも、グサッと心に刺さる話を1する。これが、交渉の基本である。
自分が感動した話も、
誰かにとっては激怒する話である。
誰もが納得する話は、この世には存在しない。
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自己紹介でもある記事
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