書籍『人生最後の日にガッツポーズをして死ねる たったひとつの生き方』に元気をもらう
2020年4月29日 自宅
待っていたよ。
予約していた本が届いた。
ひすいこたろう氏、久しぶりの新刊である。
この方の著作では江戸幕府から明治政府に権力がうつる、幕末のエピソードがよく紹介されている。しかも、文章がとても読みやすい。しんどい時も手に取りやすく、歴史好きの私は好んで読んでいる。今回の本は幕末のエピソードの紹介ではなく、幕末がメインテーマの本だ。予約する以外の選択肢がみえなかった。
今日は幸いなことに体調がいい。
一気読みをするチャンスだ。
受け取る前にしていた作業をすべて放り出し、読書モードに突入した。
うん、面白かった。
本文だけで250ページを超える、そこそこ厚みがある本だが2時間ほどで読み切った。ずっと読んでいたいと感じる本ほど、目の動くスピードが早くなってしまう。楽しい時間ほど、なぜ短く感じるのか。だから、つい繰り返し読んでしまう。
書籍『人生最後の日にガッツポーズをして死ねる たったひとつの生き方』も繰り返し読みたい枠の本だ。今回の本で紹介されている偉人は吉田松陰氏、高杉晋作氏、野村望東尼氏、ジョン万次郎氏、坂本龍馬氏の五人だ。全員が生死の危機を何度も乗り越えている。私にぴったりの本である。
人生最後の日
本のタイトルにも含まれている言葉だ。私はこの心意気ではなく、この気持ちを抱えて生きている。だから、よく紹介される勇気づける系の本は私には当てはまらない。
「老後を安心して過ごすために、今を頑張る」
10年後に生きているかすら、わからないのですが?
「早起きで気持ちを整えよう」
起き上がれるかすら、未定なのですが?
「筋トレは心も鍛えてくれる」
立ち上がれるかすら、不透明なのですが?
ことごとく、現実がアドバイスを打ち崩していく。参考にはなるが、勇気をもらう本ではない。自己啓発系の本は、私にどれだけできないことが多いかを突きつけるジャンルである。自分事と考えずに読む、そういう対象だ。
私に元気をくれるのは歴史や哲学、宗教のジャンルである。死を真正面からとらえている内容だけが、前を向く助けになってくれる。ただ、死を扱うジャンルは騙しが多い。「弱っている心につけこんで稼いでやろう」という邪念の本だらけだ。人間のエゴを強く感じるジャンルでもある。そういう本に出会ってしまったときは、物語の世界に避難する。死と向き合う本と別世界を描く本が、私の精神安定の要である。
ひすいこたろう氏の本は安心して読める。なぜならば、著者自身が幕末の偉人に魅せられているからだ。「こんなカッコいい人たちがいたんだよ」という熱意が文章から伝わってくる。幕末偉人推しのファンとも言える。だから、言葉に邪念どころかウソがない。その純粋さにいつも元気をもらっている。
死が身近な現実をどう生き抜いたか。
私にとって、これほど参考になるテーマはない。どれほど楽しく生きていても、不安にかられる日はある。熱にうなされ、息苦しく、体が痛みで震える時は、このまま死ぬかもと思う。翌日、無事に目が覚めても素直に喜べない。眠ったまま死んでいれば楽だったのに、そんな言葉が頭をよぎるときもある。
そんな弱い自分に活を入れてくれるのが、死と隣り合わせの時代を生き抜いた人の軌跡だ。その姿を感じるたびに、もう少し頑張ろうと思える。なんの支えがなくても前を向けるほど、強くはなれない。偉人の生き様という花のようにかぐわし見本があるからこそ、やけにならずに済んでいる。歴史に残らぬ陰に、泥臭い事実があったとわかっていても。
やっぱり、歴史がテーマの本はいい。
この感動が消えぬうちに、読み返しだ。
閉じた本を、再び開いた。
放り出した作業をそのままに。
死は生の傍にある。
ただ、見えにくいだけである。
honto
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