押し隠した怒りも身体に悪い
2020年5月29日 自宅
怒りが苦手だ。
母の暴れる姿や大人の醜い争いをみた。怒りはふくれあがり、憎悪につながる。本人も周囲を傷つける。そんな結末を繰り返しみたので、怒っちゃいけないと思っていた。幼少期の私は、感情を隠すために無表情ではなく笑顔を選んだ。きっと、笑いが怒りから最も遠い表情だと感じていたからだろう。
今では、怒りも必要な感情だと知っている。それでも、怒りを表に出すのは好きじゃない。つい、昔の癖で怒りを抑え込もうとしてしまう。これが、精神だけでなく身体にも良くない。
「あまり、怒らないでください」
高血圧の母も、心臓病の父も、医師に指導されていた。怒りはエネルギーを大きく消費するだけではない。血圧を上げたり、脈拍を早くしたりする。逆に、血圧が下がったり、脈拍が遅くなることもある。どちらも、血管や心臓などが強くない人には悪影響だ。だから、怒るなと指導される。
ここで、興奮しなければ大丈夫と勘違いする人がいる。顔を真っ赤にしてワーワー喚かなければ問題ないと、昔の私のように怒りを押し隠したりする。実は、こちらも身体には悪影響だ。
イラっとした瞬間に怒りを表せば、そこで終わりだ。ムカつく場面を脳内で繰り返し上映して、思い出し怒りをするなら話は別だが。たいていは、表に出すことでスッキリするので後には引かない。
だが、押し隠した怒りは違う。気晴らしで忘れる、なんてのは表面上のことだ。心の奥底で晴らされなかった怒りは降り積もっていく。怒りを感じるほどの出来事を人の脳は忘れない。無意識の部分でずっと覚えている。だからこそ、ある日、なんの前触れもなく噴火する。積もり積もった怒りは、たまった年月が長いほどなかなか収まらない。
降り積もって爆発する。これだけなら、まだ被害は軽い。やった方は忘れてもやられた方は忘れない理論で、激怒された側がわけがわからず話がややこしくなる。貯めている間は利息がつくので怒りの深さが桁違い。このふたつも、まだいい。もっと厄介な特徴がある。
怒りを押し隠している間、本人の心身にダメージを与え続ける。
ゲームの呪い装備のように自覚がない。まず、怒りがたまっていることすら気づいていないのだ。「最近、息切れがしやすい」「睡眠時間が短くなった」「何をしても楽しくない」など、病院に行くまでもないと判断しそうな症状が出やすい。というよりも、病院に行かなきゃいけないなら重症である。その場合でも、胃痛・腰痛・血圧の異常などが多いので、まずは内科に向かう。大本の原因がわからないまま、身体の異常だけ治療される。だから、良くもならないし、治ったとしてもすぐに再発する。
イラっとしたら、すぐに吐き出す。
これでは、人間関係がヒビだらけになる。トラブルしかない人生になるだろう。怒りをまったく押し隠さずに生きる。それは、平穏に生きようと思えば不可能だ。けれども、怒りを押し隠してばかりだと心身が壊れていく。私や私の両親が、命や健康を失ったように。
我慢もほどほどに。
一度失えば、戻ってこないものもあるのだから。
穏やかな期間が長い火山ほど、
噴火したときの被害は大きくなる。
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自己紹介でもある記事
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