歩くリトマス試験紙の反応記録

『ありのままに、ゆったりと、みんなで』

【歩くリトマス試験紙の反応記録】映画『記憶にございません!』にユーモアの本質を学ぶ

映画『記憶にございません!』にユーモアの本質を学ぶ

 

2019年9月13日 映画館

 

まさかの2日続けて映画館だ。「いや~、今年の日本映画はいいね」と足が軽くなっている映画狂さんよ。付き合う人間の体力を考えてくれ。これが三谷幸喜監督の作品でなければ断ったのに。監督の作品はTVドラマ『王様のレストラン』の頃から好きなのだ。一番の原因が自分の物語愛だとわかっている。だが、理不尽に腹が立ってしまうのが人間だ。いつか歯をギリギリするほど悔しがらせたい。オボエテイロ。

 

面白い。

 

期待を超えるブラックユーモアの嵐、テンポが絶妙、展開があちこちへ飛ぶ。「物語が2時間で終わるのか?」と不安になる急展開をまとめ上げる。相変わらずの脚本に今回も楽しんだ。中井貴一さんの演技も光っていた。一般人と悪役と大物、大幅に衣装を変えること無く演じ分けていた。発声や表情に仕草だけで、与える印象をガラッと変える。正しくプロだった。

 

映画『記憶にございません!』は日本政界が舞台だ。政界とはどの国もドロドロしているものだ。予告編がコメディだったので薄暗いとこは突かない。そう、勘違いしていた。

 

全力の批判

 

人を笑わす演出なのに、内容は薄暗いどころか真っ黒い話題もオンパレードだった。「よくぞここまで直球で表現された」と唖然とするしかなかった。「下手な政治批判より、よっぽど各心に触れている」、映画狂の友人もめずらしく絶賛していた。見事に現代の問題を国民、政治家、マスコミなど、対象を選ばずに皮肉っている。たぶん、役所のごとくカチカチの演出だったら放映できないレベルだ。

 

そんな批判の嵐なのに、とにかく面白い。これは三谷幸喜監督と演者の腕でしかない。悲劇には喜劇的な要素が必要と感じていた。これは逆も言えると気づいた。喜劇には悲劇的な要素が必要なのだ。

 

”Life is a tragedy when seen in close-up,but a comedy in long-shot.”

 

意味は『人生は近くでみれば悲劇だが、遠くからみれば喜劇である』、喜劇王チャールズ・チャップリン氏の言葉だ。彼の人生、特に前半期はどうしようもなく悲劇的だ。だからこそ、悲劇と喜劇の本質を掴んでいたのだろう。

 

作品中の登場人物を観客は笑っている。だが、登場人物たちにとっては記憶喪失や立場の喪失、家庭崩壊など悲劇の種だらけだ。悲劇か、喜劇かはみる視点の差に過ぎない。事実は何ひとつ変わっていない。

 

個人でもよくあることだ。お茶会でも、宴会でも、勉強会でも最も笑いが起こるのは失敗談だ。これは他人だから何の気兼ねもなく笑える。失敗した本人にとっては悲劇でしかない。話のネタにできるほど遠い出来事になっても、心のうずきが完全に消えるわけじゃない。ただ、戻ってこない過去を笑い飛ばすしかない。私のように失敗やトラブルが起こった瞬間に「話のネタになる」なんて思える変人は数少ない。

 

ある意味、喜劇と悲劇はコインの裏表だ。片側が無印刷の物語は面白くない。喜び、怒り、泣き、楽しみがあるからこそ皆、ストーリーに引き込まれる。映画『記憶にございません!』に喜劇だけでなく、物語の本質の一端を教えてもらった。体力が減りすぎて頭痛がするが、誘ってくれた映画狂さんには感謝をしたい。お返しを楽しみにしてくれ、喜びも怒りもこもっているだろが。

 

自慢話は有名人でも喜ばれにくいが

失敗談はどこでも歓迎される。

ただし、笑いがないと避けられる。

 

「記憶にございません! 」 オリジナル・サウンドトラック

「記憶にございません! 」 オリジナル・サウンドトラック

 

 

↓ ランキングに参加中です。

ブログランキング・にほんブログ村へにほんブログ村

【歩くリトマス試験紙の反応記録】映画『ロケットマン』に専門家の弱さをみる

映画『ロケットマン』に専門家の弱さをみる

 

2019年9月12日 映画館

 

「あんたは絶対、好きなハズだ」と映画狂の友人に引きづりこまれた。「せめてタイトルぐらい教えてくれよ」と思いながらたどり着いた先に映画『ロケットマン』が待っていた。さすが行動は非常識だが審美眼は外さない友人だ。私の好みをよく理解している。ちなみに私は音楽もノージャンルだ。最近ハマっているのはSum41の『Still Waiting』、激しさと切なさを兼ね備えた旋律がいい。

 

天才はもろいな。

 

映画『ロケットマン』をみて、つくづく思った。天才、特に芸術系の天才で人付き合いが得意な人はいない。得意そうにみえても表向きだけで、内心は解けかけの氷のように壊れそうな心を抱えている。なぜならば、そこまで感性が繊細でなければ歴史に残るような作品は生み出せないからだ。

 

主人公であるエルトン・ジョン氏も人付き合いでピンチに何度も陥っている。映画『ボヘミアン・ラプソディ』で主役だったフレディ・マーキュリー氏と同じく、凄腕の詐欺師に騙されている。傍から見てれば騙されているとひと目でわかるのに、本人は気づかい。多くの悲劇のように、どこまでも喜劇的だ。

 

幼少期から才能を見いだされた人は、人間のえげつなさに触れる機会が遅い。欲に駆られた生き物がなんでもすることを知らない。しかも忙しすぎて広い人間関係をつくる時間もない。絶望に落とされるのが約束されている人生だ。そこで、絶望を味わう前よりすごい作品を生み出す天才と潰れる天才に分かれる。どちらが多いかは、名前が残った人の数に現れている。もし立ち直る人が多ければ、エルトン・ジョン氏のように映画化されることはなかっただろう。

 

映画を観ながら、疑問が湧いた。

騙されやすいのは天才だけだろうか?

いや、専門家も危ない。

 

一流の専門家になるには、多くの時間が必要だ。その時間分、様々な人間関係を築く時間も遊ぶ時間もない。つまり、頭が専門分野の常識に染まってしまう。専門家に慣れる人は頭のいい人が多い。だからこそ、「騙されるはずがない」と思い込んでいる。そして、専門外の分野で騙される。

 

専門家でなくても、幼少期に「頭がいい」と褒められた人も危ない。勉強やスキルの修得が早くなるメリットがある。だが、傲慢になりやすいデメリットがある。これは統計にきっちりでている。最も騙されやすいのは、「自分は騙されない」と思い込んでいる人だ。私はビビリなので騙される可能性は常に考える。おかげで小学生の頃に「子供らしくない」となじられた。

 

専門分野だって油断ができない。近年は情報の更新が早い。フィッシングメールはいい例だ。昔のフィッシングメールはアドレスも偽物、本文も嘘くさかった。『アドレスを確認しろ』が基本対策だった。それが今では本家のアドレスでメールを送ってくる。昔、ネットセキュリティに詳しかった人ほど騙される。「専門分野だから大丈夫」なんて過信が許される時代じゃない。

 

『騙される危険からは誰も逃げられない』という恐ろしさ

『絶望に落ちた時に支えてくれる人』の尊さ

『苦しんだからこそ表現できるもの』がある現実

 

映画『ロケットマン』に創作者の人生の厳しさを学んだ。天才だろうと、秀才だろうと、凡人だろうと人生で苦しむのは変わらない。選べるのは自分の言動だけだとつくづく感じた。たとえ騙されたとしても、どんな道を歩むかは自分次第だ。

 

絶望を

成長の種にするか。

足かせにするか。

自分だけが決められる。

 

ロケットマン ブルーレイ+DVD<英語歌詞字幕付き> [Blu-ray]

ロケットマン ブルーレイ+DVD<英語歌詞字幕付き> [Blu-ray]

  • 出版社/メーカー: パラマウント
  • 発売日: 2019/12/25
  • メディア: Blu-ray
 

 

↓ ランキングに参加中です。

ブログランキング・にほんブログ村へにほんブログ村

【歩くリトマス試験紙の反応記録】映画『トルーキン 旅のはじまり』は創作の教科書

映画『トルーキン』は創作の教科書

 

2019年9月1日 映画館

 

「昨日は、あんたに付き合った」

「今日は、そっちが付き合え」

 

まさかの2日連続、映画館である。当日に誘う悪癖がまったく治っていない。相手は映画狂の短気、元から期待はしてなかった。「字書きを名乗るなら観ろ」と言われては、行く以外の選択肢はない。ヤレヤレだ。

 

重い

 

昨日観た映画『引っ越し大名!』に引き続き、また予想を裏切られた。予告編が暗めだったのでシリアスは覚悟していた。その覚悟が甘かった。上映時間の半分が暗いエピソードだ。しかし、その暗さが本編の美しいエピソードを際立たせていた。

 

トルーキン氏は日本でも大ヒットした『ホビット』『ロード・オブ・ザ・リング』などの原作者だ。その前半生を描いた作品が『トルーキン 旅のはじまり』だ。この前半生が重い。貧困、母を若くして亡くす、戦争など重苦しい出来事だらけだ。一部、私も経験済みなので鑑賞中は心がギシギシときしんだ。

 

恵まれているとは言えない環境でトルーキン氏は創作を続けていく。その姿に、どんな分野であれ心がけたい姿勢を教わった。

 

まず、どこでも筆記用具を持ち歩いている。どんなに貧しくても、従軍中でも手放さない。アイディアはいつ降ってくるかわからない。こまめに書き留める姿に創作への熱意を感じた。トルーキン役の堅物な印象とのギャップが面白い。

 

次に仲間だ。仲間の大切さは一人で創作できる文字の世界でも変わらない。しかもトルーキン氏は文学を志す友人だけでなく、音楽や絵画など他分野の友人もいた。ただし、どちらも創作への熱量は高い。”類は友を呼ぶ”の”類”は同じ分野の人という意味ではなく、同じ心を持った人だと思わされた。分野の違いでトルーキン氏に与える影響に違いがあるのには唸らされた。

 

特に強く心に残ったのは『苦しみを味わう必要性』だ。トルーキン氏の前半生は苦難の連続だ。自ら望んで体験したわけではない。だが、その苦難が後に素晴らしい作品群へと昇華された。

 

幼少期の物語の中にいるかのような生活、仲間や恋人を得た喜び、それだけでは人の心を打つ作品は生まれなかっただろう。名作と呼ばれる物語に、悲しみを描いていない作品は存在しないのだから。

 

トルーキン氏の美しさを詰め込んだ作品は本人の飽くなき情熱と仲間の存在、そして自然豊かな故郷への郷愁と人生の喜びと悲しさが生んだのだ。映画『トルーキン 旅のはじまり』を観て、私は思いしった。

 

もちろん、トルーキン氏の才能は否定できない。言葉への繊細過ぎると言うしかないセンスは真似ができないものだ。けれども、その才能も磨かれなければ活かされない。人生の喜びや悲しみがトルーキン氏の才能を育てていた。

 

映画狂の友人の言ったとおり、映画『トルーキン 旅のはじまり』は字書きならば観るべき作品だった。字書きだけでなく、創作を志すすべての人におすすめの作品だ。当日に誘う友人の姿勢には苦情を述べたい。けれども、その作品を選ぶ嗅覚は尊敬している。言いたいことは山ほどあるが感謝を伝えたい。

 

「素晴らしい作品を教えくれてありがとう」

 

体験ではなく

心が震えたものしか

描くことはできない。

 

文庫 新版 指輪物語 全10巻セット (評論社文庫)

文庫 新版 指輪物語 全10巻セット (評論社文庫)

 

 

ロード・オブ・ザ・リング (字幕版)

ロード・オブ・ザ・リング (字幕版)

  • 発売日: 2013/11/26
  • メディア: Prime Video
 

 

↓ ランキングに参加中です。

ブログランキング・にほんブログ村へにほんブログ村

【歩くリトマス試験紙の反応記録】映画『引っ越し大名!』に組織改革を学ぶ

映画『引っ越し大名!』に組織改革を学ぶ

 

2019年8月31日 映画館

 

予告編で気になっていた『引っ越し大名!』、『刀剣乱舞』とコラボと聞いては行くしかない。いつもとは逆に映画狂の友人を引きずった。「急に決めるな」と文句を言われた。ちょっと待て、上映2時間前に誘う人に言われたくない。今回で身に沁みてくれるといいが。儚い期待だ。

 

予想外に心が重くなるシーンに驚いた。

 

タイトルも予告編もコミカルだ。だから、本編もギャグで駆け抜けると思った。駆け抜けるのは予想通りだったが、障害物のように心がズーンとするエピソードがいくつもあった。

 

「下っ端はつらいよ」

 

中間管理職もつらいが、階級が下のものはもっとつらい。ストレス発散に使われ、親友が有能すぎてプライドはボロボロ、おまけに厄介事を押しつけられる。そんな悲惨な状況から主人公の歩みが始まる。

 

ただ、この物語はトラウマを植えつけるような作品ではない。一昔前で言うならば、成り上がりものだ。最底辺の地位と評判から藩随一の家臣に成長していく。そのストーリーが組織改革の良い見本になっている。3つ上げると、仲間集め・お金・膿出しだ。

 

まずは仲間だ。組織改革は一人じゃできない。信用ができる仲間が必要だ。ここで大事なのが、能力よりも人格が優先される。『引っ越し大名!』では、親友という名の強い味方がいた。そのカリスマ性で仲間が続々と集まったのが大きい。

 

組織改革というのは今、おいしい立ち位置の人に邪魔される。いわゆる既得権益だ。しかも大抵の場合、強い権限を持っている。秘密がもれれば改革前に潰される。能力を優先するのは強い権限を握ってからだ。この段階になると秘密がもれても対処ができる。むしろ改革を成功させたいなら、もれた秘密を利用するぐらいの腹黒さがほしい。

 

次にお金だ。お金がなければ組織は動かない。侍だって”御恩と奉公”、御恩がなければ主君を見捨てる。

 

「元手ゼロで人を動かしたい?」

 

そんな甘い話はない。最近、定着してきたクラウドファンティングだって経費はかかっている。『引っ越し大名!』では主人公が大商人相手にプレゼンした。同じように、お金を投資してもらうには相手を納得させる仕組みづくりは外せない。

 

最後に膿出しだ。風呂場の栓がゆるいと水が貯まらないように、不正は弾き飛ばさないといつまで経っても資金は貯まらない。組織の安定はお金に現れる。どんだけ売上が多くても、すぐに使えるお金が少ない組織は不安定だ。

 

だいたい、組織で働く人のやる気も上がらない。不正で得をしている人がいる組織で、真面目に働こうと思うだろうか。組織というのは時代に合わせて変化、向上しなければ消える存在だ。やる気がない人たちが集った組織は、どれほど資金が潤沢でも3代でフェードアウトする。組織にとって不正はがんだ。『引っ越し大名!』は「不正をどう無くすか?」を問いかける作品でもあった。

 

『翔んで埼玉』を観た時も思ったが、コミカルな映画は学習まんがだ。文章では分かりにくい内容を楽しみながら学ばせてくれる。『引っ越し大名!』も学べる作品のひとつだ。仲間づくり・お金・膿出し以外にも組織改革のヒントが散りばめられていた。歴史好きだけでなく、組織運営に困っている人にもぜひ観てもらいたい作品だ。

 

私は歴史好きでユーモア好き、『刀剣乱舞』大好きなので満足だ。”御手杵”の槍が主人公の親友である達人にぶん回されている。それを観ただけでも来た価値はあった。

 

つけ加えるならば、主人公が草食男子なのも注目ポイントだ。”強い女性と頼りなくみえる男子”、この組み合わせは最近の流行だ。日本映画だけでなく、ハリウッドやディズニーなど海外映画でも増えている。高齢の友人には不評だが、私は面白いと感じる。

 

身体のつくりが違う男女をすべて同じように扱うのは無理がある。けれども、過去につくられた常識に縛られるのも問題だ。いいバランスを考えるためにも、いろんなキャラクターが物語でも存在してほしい。登場人物の正確の多彩さも『引っ越し大名!』の魅力だ。魅力ある組織に個性的な人が多いように。

 

流れのない水は腐る。

 

【Amazon.co.jp限定】引っ越し大名!  豪華版 (初回限定生産)(非売品プレス付き) [Blu-ray]

【Amazon.co.jp限定】引っ越し大名! 豪華版 (初回限定生産)(非売品プレス付き) [Blu-ray]

  • 出版社/メーカー: 松竹
  • 発売日: 2020/04/08
  • メディア: Blu-ray
 

 

↓ ランキングに参加中です。

ブログランキング・にほんブログ村へにほんブログ村

【歩くリトマス試験紙の反応記録】映画『アルキメデスの大戦』に苦難への挑み方を学ぶ

映画『アルキメデスの大戦』に苦難への挑み方を学ぶ

 

2019年8月27日 映画館

 

「この映画を見逃してはいけない」

 

いつものように映画狂の友人に引きづられた。いい作品を見抜く目がなければ放置できるが、悔しいことに友人の選んだ作品に外れがない。やれやれ顔で映画館に向かった。もはや、毎月の恒例行事だ。

 

上映が終わった。CGは少し変なところがあったが、オープニングの沈没シーンは見事だった。血を流した経験がある者からすると「こんな鮮やかな赤じゃない」と指摘したくなる流血シーンもあった。映像表現には、突っ込みどころが両手では足りないほどある。しかし、それが気にならないほど深いテーマがあった。

 

『避けられない苦難にどう対処するか?』

 

この作品は”戦艦大和の建造と崩壊”を天才数学者である学生という”部外者”の視点で見つめ直している。開始早々、戦艦の沈没シーンから始まる。つまり、破滅という結末は変わらない。描かれているのは苦難との向き合い方だ。

 

感情や欲望で目がくらんではいない。行き着く先を見通している。それでも、避けられない結末がある。「現実の厳しさをわかった上で、どう最善をつくすのか?」そんな問いかけが作品から伝わってきた。

 

この作品は皮肉に満ちている。社会的地位も真面目そうな人柄もまったく信用できない。悪人かと思ったら、実は深い考えがあった。最初から最後まで欲深い人もいる。与えられた情報が変わるだけで、登場人物の印象がぬり替えられていく。情報と物事を多方面から考える大切さが強調されていた。

 

『軍の話なのに、主人公は数学者』

 

部外者だからこそ「おかしい」と気づける。日本の戦前、いや江戸時代から続く問題点を戦艦大和の建造に至る道で表現されていた。100年近く前の歴史が舞台だが、作品で映し出された問題点は現代につながっている。

 

国の個性は、風土と歴史の積み重ねで決まる。人で例えるならば遺伝子と環境だ。現代は技術が発展して世界の垣根は低くなった。戦争、飢餓、伝染病の対策も100年前に比べれば、未然に防げる事態は増えている。だが、すべてを解決できるわけじゃない。特に過去から続いているモノは厄介だ。”感情”と”欲望”のしがらみを断ち切る必要がある。

 

苦しい時代がくる。

避けることは誰にもできない。

そんな未来がみえたとき、どうするか?

 

問題に気づかいないフリで日常を続ける。お酒や薬など快楽に逃げる。どちらも、予想よりも悲惨な結末を迎える。乗り越えられるのは、困難に備えて対策をした時だけだ。目を逸らしている限り状況は悪くなり続ける。

 

映画『アルキメデスの大戦』は苦しみを受け入れ、それでも先を見つめる大切さを教えてくれた。主人公は最後まで最善を尽くし続けた。どれほど希望が打ち砕かれても。

 

転びそうな時は受け身をとる。

受け身をとればスリ傷で済むが、

何もしなければ骨折する。

 

アルキメデスの大戦

アルキメデスの大戦

  • 発売日: 2019/12/08
  • メディア: Prime Video
 

 

↓ ランキングに参加中です。

ブログランキング・にほんブログ村へにほんブログ村

【歩くリトマス試験紙の反応記録】映画『ワイルド・スピード”スーパー・コンボ”』はスレ違いが多すぎる

映画『ワイルド・スピード”スーパー・コンボ”』はスレ違いが多すぎる

 

2019年8月2日 映画館

 

映画『ワイルド・スピード』の最新作を観にいった。予告編や広告が熱いアクションを期待させる編集だったので、どんなハードボイルドが展開されるかと思っていたら、カーアクションという名のホームムービーだった。元々、映画『ワイルド・スピード』シリーズのテーマのひとつは家族愛だと感じていた。だが、これほど全面に押し出してくるとは思わなかった。マッスルな格闘シーンと爽快感すら感じる車の魅力全開のシーン、それを一瞬で塗り替えるほのぼのシーンのギャップに笑いが止まらなかった。強面がこっそり猫に餌をやっていたのを目撃したかのような胸の高鳴りを味わった。

 

『人生は近くで見ると悲劇だが遠くから見ると喜劇である 』とチャップリンが言葉を残したように、観客であるコチラにとっては楽しいシーンだが作品の世界では悲しいスレ違いの嵐だった。お互いを大事に思っているのに、タイミングや周囲が悪質すぎてどこまでもスレ違う。意見の違いでもスレ違う。どちらも間違っていないのが、どうしようもなくポツリと一人残されたかのように切ない。

 

ふと、思った。

作品の中だけでなく私達の世界も同じだな、と。

 

争いというのは、たいてい認識のズレで起こる。お互いにただ誤解している場合もあるが、誰かの意思で誘導されることもある。厄介なのが、一度スレ違ってしまうと後に誤解だとわかったとしても溝が埋めづらいことだ。傍から見れば極わずかのズレでも、諍いを望んだ人が目的を果たし去ったあとでも、一度出来たシコリはなかなか埋まらない。これは個人も組織も国ですら逃れられない。

 

どうしようもないと感じ、お互いの心の平安のために距離を置くのもひとつの選択だろう。近くにいればいるほど話がこじれる。だからこそ、お互いの頭が冷えるまで適度な距離を置くというのもありだ。だが、すべてが一時置きすればいいものじゃない。相手の考えを理解しようとする柔軟な心と気まずい関係でも話しかける勇気が必要な場合もある。どちらがいいかは、ケースバイケースだ。客観的に判断できないなら、誰かに相談するのもいい。

 

修復不可能なほどにこじれるパターンは3つだ。許されるはずがないほど愚かな行為をした場合、煽り立てる他者がいる場合、頭に血が上った2人が1対1で話し合う場合だ。3パターンとも片側、または両方が熱くなって余計な言動をして相手を怒らせて感情までこじれる。感情のこじれまで話が揉めると、まず関係修復は望めない。それどころか争いが周りに飛び火する。冷静さと客観性は、状況が深刻なときほど手放すと痛い目にあう。

 

映画『ワイルド・スピード』の最新作では、瞬きするのも惜しいほど状況が坂を転げ落ちるようにコロコロ変わっていた。スレ違いも解消されるどころか、さらに広がる観ているだけでハラハラする展開だった。退屈する暇のない作品なので、結末は映像で確かめてほしい。今回はバイクシーンも圧巻、アクションシーンは予告編では連想しづらい演出だった。脚本家がどこでこのネタを思いついたのか、聞けるものなら聞きたいものだ。

 

スレ違いがうまく修復されれば、

絆は元よりも強固になる。

 

ワイルド・スピード/スーパーコンボ (字幕版)

ワイルド・スピード/スーパーコンボ (字幕版)

  • 発売日: 2019/10/01
  • メディア: Prime Video
 

 

↓ ランキングに参加中です。

ブログランキング・にほんブログ村へにほんブログ村

【歩くリトマス試験紙の反応記録】映画『東京喰種”S”』は空回りがいい

映画『東京喰種”S”』は空回りがいい

 

2019年7月20日 映画館

 

昨日に引き続き、今日も邦画を楽しむ。映画『東京喰種”S”』を選んだ理由、それは予告編のインパクトだ。前作を観ておらず、原作もじっくり読んでいないのに予告編の強烈すぎる演出に負けてしまった。そんな色物っぽいイメージは本編で覆された。善意がカラカラと空回りながらも、収まるべきところに収まる。友情、愛情、ライバル関係、それぞれが苦難に打ち勝ち、新たな絆を深める。少年漫画のような熱い展開だった。なお、変態は最後まで変態だった。その一貫性にも感服した。

 

善意の行動がプラスの結果を生むとは限らない。長期的な考えや思い込みが強ければ、とても視野が狭くなる。狭い視野でした判断を元にした行動は、後悔の源だ。

 

「自分がしてほしいことを、相手に行う」

 

よく勘違いされやすい言葉だ。この言葉を知って、「私がチーズが好きだから、みんなにも配ろう」と思う人がいる。行動しようとする気持ちは素晴らしいが方法がアウトだ。日本で売られているチーズは冷蔵保存が多い。つまり、運搬が手軽ではない。おまけに、私のようなチーズがアレルギー対象の人もいる。好き、嫌いの好みだってある。自分が好きだから、周りも好きなはずという思い込みが起こす事故だ。

 

この場合は「好きなものをもらうと嬉しい。だから、私もみんなにプレゼントをしよう」だ。プレゼントを渡す人の好み、渡すタイミング、持ち運びの手間など、相手の気持ちやその後の対応まで考えないと逆効果になる。

 

プレゼントに限らず、声かけ、手助けの場合も注意が必要だ。善意の気持ちがトラブルを呼び込んだ。そんな話はいくらでもある。行動を起こす前に「相手はどう感じるだろう?」という疑問を投げかけたい。暴走列車は映画の中だけで十分だ。

 

「悪気はなかった」は免罪符にならない。

 

 

↓ ランキングに参加中です。

ブログランキング・にほんブログ村へにほんブログ村

【歩くリトマス試験紙の反応記録】映画『Diner』に基準の難しさをみる

映画『Diner』に基準の難しさをみる

 

2019年7月19日 映画館

 

久しぶりに邦画をみた。暗殺者が集うレストランが舞台の映画『Diner』、予想以上に面白かった。特に主人公である一般女性の常識と暗殺者の思考がぶつかり起こる悲劇、善意の行為が不幸に導く。そんな人間関係の複雑さに引き込まれた。そして、思う。藤原竜也さんの狂人役に外れはないな、と。

 

自分の常識は他者の非常識だ。似たような場所で生活をしていても、思考は驚くほど違う。「きっと、わかってくれるだろう」という考えの行動が起こすトラブルは、数え上げれば切りがない。確認不足と説明不足は諍いの種だ。

 

「空腹のままでも寝られるけど」

「また不幸自慢か」

 

こういう返事がきて驚いたことがある。私にとって、空腹は健康の証だ。体調が悪いとお腹は空かない。さらに言えば、絶食が続くと意識がぼやけるので何も感じなくなる。空腹があるうちは、まだ危機的状況ではない。これが私の認識だ。けれども、話し相手にとって、空腹はツラいものだったらしい。ただでさえ空腹で苦しいのに、それを我慢して寝るなんて拷問のように感じたようだ。空腹、たった二文字の言葉でさえ受ける印象が人それぞれ違う。相互理解の難しさを学ぶ出来事だった。

 

『他国では常識が違う』よく言われる話だが、常識が違うのは他国だけではない。同じ地域に住んでいる人同士でも違う。家族でも一致はしない。例え同年齢、同地域、同性別でもまったく同じ思考にはならない。交流には誤解がつきもの、この前提でコミュニケーションをとらないとトラブルに発展する。「わかったつもり」「伝えたつもり」は例え相手が暗殺者でなくても悲劇への近道だ。

 

ありがた迷惑はリサーチ不足の証明だ。

 

Diner ダイナー[Blu-ray 豪華版]

Diner ダイナー[Blu-ray 豪華版]

  • 出版社/メーカー: バップ
  • 発売日: 2020/01/22
  • メディア: Blu-ray
 

 

↓ ランキングに参加中です。

ブログランキング・にほんブログ村へにほんブログ村

【病院スクランブル】映画『アラジン』に人の弱さと強さをみる

映画『アラジン』に人の強さと弱さをみる

 

2019年7月6日 映画館

 

映画狂の友人に誘われて映画『アラジン』を観た。ディズニーと強面なウィル・スミス氏の組み合わせに、視聴前はイメージが不協和音だった。だが、観終わった後はランプの魔人の威厳と圧倒的なリズム感から繰り出されるダンスは彼しか出来なかったのだと納得した。古代と現代までのダンスの見事なコラボレーションに魅せられた。物語だけでなく、ダンスもミュージカル映画並みに見応えのある心高鳴る作品だった。

 

ストーリーはシンプルだった。話の筋もよく知られている童話『アラジンと魔法のランプ』と同じだった。所々、原作である『千夜一夜物語』の子供向けに削られていた部分が付け加えられていたがハッピーエンドは変わらない。だが、視点が違った。

 

盗まなければ生活できない少年

王としての立場に縛られる父親

法のために感情を押し殺す戦士

 

私が感じたのは人の心の移り変わりだ。一貫性が合ったのはラスボスぐらいだった。ほとんどの人たちが自分の感情や環境に振り回され悩み苦しんでいた。最初からの悪人も善人も存在せず、常に揺れ動いている。立場を変えてみれば、悪人と善人の立場すら入れ替わる。そんな不安定な中でも、出来る限り優しい結果を掴もうとする人々の奮闘が描かれていた。

 

『その行動を、あなたは後悔しませんか?』

 

主人公だけでなく、様々な立場の人に人生の選択を突きつける。しかも現代でも悩みそうな問いばかりが尋ねられる。物語の世界だからと言い訳できない、楽しくも厳しさのある優しい作品だった。

 

人生の選択を迫られるとき、たいていは追い詰められている。冷静に判断するには厳しい状況で決断しなくてはならない。そんな状況なので、どうしても短期的で自分本意な決断をしがちだ。そして、後悔する。「こんなはずじゃなかった」と悔いる結果を避けるためにも、長期的視点と他者視点を取り入れたい。

 

自分本位になるのは問題ない。誰だって自分が一番大事だ。むしろ他者視点だけの決断は、自分本位だけの決断より悪い結果を生む。悲運に酔うメンタルは自分も周りも不幸にする。悲劇のヒロインは、最近のディズニー映画ですら見かけない。悲運をひっくり返してこその感動ストーリーだ。

 

事実は変わらない。

だが、その後の行動は選べる。

 

アラジン (字幕版)

アラジン (字幕版)

 

 

↓ ランキングに参加中です。

ブログランキング・にほんブログ村へにほんブログ村

【病院スクランブル】映画『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』に世の不思議をみる

映画『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』に世の不思議をみる

 

2019年6月13日 映画館

 

父に誘われて映画を楽しむ。3Dバージョンと音がいいバージョン、どちらの劇場にするか悩んだ。説明を読んだ末に音がいい方を選んだ。理由は父の健康問題だ。3Dの説明を読むと座席が揺れると書いてある。つまり、椅子に電気が流れている。父の身体には心臓病対策のペースメーカーが入っているので、強い磁気は誤作動の可能性がある。椅子を動かす程度なので問題はないと思うが、念の為に避けた。結果的に身体に響くオーケストラのような音を味わえた。足音に至るまで監督のこだわりを感じるいい作品だった。

 

映画『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』の主役は怪獣だ。人間は付け合わせのポテトである。意外性はなく王道の展開が続く、ある例外を除いては。

 

人の行動がほとんど裏目

 

良かれと思った行動が、ことごとく失敗する。何もしない方がマシだった、そんな展開ばかりだ。そして、考えなしの行動が多くの人を救ったりする。「無計画で流されて生きると幸せになれる」と思いかねないほど理不尽の嵐だ。怪獣の1体ですら手に負えず、人はあらゆる暴威に振り回されて終わる。この作品はきっと、伝えたかったのだろう。

 

驕るな

 

『自然を意のままに操ることなど不可能だ』

『たった人間1人の意思ですら、自由にすることはできない』

 

理性や計算だけで全てがうまくいく、という思想を暗に否定していた。確かに、大規模災害は現代の技術でも止めようがない。出来ることは被害を減らすぐらいだ。野菜が育つメカニズムですら根本的にはわからない。未だに自然の恵みにお任せだ。人間の体や心についても全容解明は先が見えない。人はまだ自然の不思議の1%もマネることすら叶わない。だからこそ、面白い。

 

ある意味、映画『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』は環境と科学の限界についての教科書だった。人間の混乱ぶりにも目を向ければ、心理学の教本でもあった。ゴジラ誕生の経緯を振り返れば納得の展開ではある。表面上は怪獣大暴れの子供心を刺激する特撮映画だが、よくよく考えると随分と皮肉だらけの作品だ。ブラックジョーク好きの私にとっては楽しめる物語だった。鑑賞の仕方がひねくれている自覚はある。

 

ユーモアは

最高の批判方法だ。

 

なぜならば

堅苦しく語りかけるよりも

耳を傾けてくれる相手が圧倒的に多いからだ。。

 

ゴジラ キング・オブ・モンスターズ Blu-ray2枚組

ゴジラ キング・オブ・モンスターズ Blu-ray2枚組

 

 

【病院スクランブル】『アベンジャーズ エンドゲーム』は正しいを問いかけている

『アベンジャーズ エンドゲーム』は正しいを問いかけている

 

2019年4月27日 映画館

 

またハンカチが濡れた。映画『アベンジャーズ エンドゲーム』は涙腺を刺激する場所がひとつじゃなかった。これまでのヒーローが登場しているとか、おかげで必殺技が乱れ飛んで盛大な花火みたいだ。沸騰しかけた鍋の中みたいな心は、映画館を出ていく頃には冷めたお湯のように静まっていた。「この作品で監督が伝えたかったことはなにか?」を考えだすと興奮がサヨナラしてしまった。雷神様の愉快なシーンだけは、なかなか去っていかなかったが。

 

人口爆発、映画『アベンジャーズ エンドゲーム』で扱われたメインテーマはこれしかない。だが、問いかけはこれじゃない。問いかけられたのは「正しさがひとつじゃないことを認められますか?」だ。人口の半分を削った方法も正解のひとつ、これを事実と認められるかだ。

 

「残酷だ」

「人としておかしい」

「受け入れられない」

 

否定するのは簡単だ。

だがらこそ、監督は描いたのだと思った。

人口が半分になった地球の姿を、人々の暮らしを。

 

人口爆発が起こったのは、悪意からではない。「食べ物に困らない生活がしたい」「戦争で亡くなる人が減るように」「赤ちゃんが死ぬのが耐えられない」「病気を治したい」そんな願いの結果、飢餓も戦争も乳幼児死亡率も消えようとしている。人間の寿命も大幅に伸びた。代わりに環境破壊、資源不足、少子高齢化の問題が生まれた。

 

なにかを解決すれば、別の問題が現れる。これは真理のようなものだ。歴史を振り返れば、いつの時代も問題は違っても流れは同じだ。人口爆発の問題は、私達の世代が解決すべき問題なのだろう。

 

問題を解決するために必要なのは、多様な考えを認めることだ。どれほど自分の思考では受け入れられない意見でも、まず聴いて想像する。別に受け入れる必要も、実行する必要もない。「この意見はどんな思いから生まれたのか?」「この意見の土台となるデータや考えは何なのか?」相手の思考を読むことで、画期的なアイディアがポンッと浮かぶこともある。「人口の半分を消せばいい」なんて危ない思考なら、笑っている場合でも怒っている場合でもない。防ぐための対策や仲間がいないかを調べる策を、できるだけ早く考えなければならない。その手段の第一歩が情報収集、相手の話を聴くことだ。

 

ちょっと想像してみた。私達の世代が人口爆発を解決したとする。次はどんな問題が生まれるのだろう。AI・ロボットとの覇権争い? 宇宙に進出した人類と地球との意見対立? 管理社会で自由が制限された世界? 寿命の消失による危険への過剰反応?

 

SF小説やハリウッド映画、アニメで描かれた世界ばかりが浮かんでは消えた。災害や第三次世界大戦で人口が激減、石器時代に戻るよりも楽しそうな世界だ。大変さは今と変わりはしないだろうが。

 

物語という形で問いかける。映画『アベンジャーズ エンドゲーム』も考えさせられる映画のひとつだった。「感動と気づきをありがとうございます」と監督にお礼を言いたい。雷神様のコミカルな動きが、シリアスな話に息継ぎをくれた。その緩急の絶妙さにも敬意を評したい。

 

映画って、素晴らしいな。

今回も引きずり出してくれた

映画狂の友人よ、ありがとう。

 

毎度、毎度アポ無しなのは

勘弁してほしいが。

 

<<2019年4月28日に続く>>

 

アベンジャーズ/エンドゲーム 4K UHD MovieNEX [4K ULTRA HD+3D+ブルーレイ+デジタルコピー+MovieNEXワールド] [Blu-ray]

アベンジャーズ/エンドゲーム 4K UHD MovieNEX [4K ULTRA HD+3D+ブルーレイ+デジタルコピー+MovieNEXワールド] [Blu-ray]

 

 

アベンジャーズ エンドゲーム (ディズニーストーリーブック)

アベンジャーズ エンドゲーム (ディズニーストーリーブック)

  • 作者: スティーブ・ベーリング,アンソニー・ルッソ,ジョー・ルッソ,上杉隼人
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2019/10/10
  • メディア: 新書
  • この商品を含むブログを見る
 

 

↓ ランキングに参加中です。

ブログランキング・にほんブログ村へにほんブログ村

【病院スクランブル】凸凹だけはチーム霧散

 凸凹だけはチーム霧散

 

2019年4月19日 自宅

 

ベッドに身体を横たえながら、映画『キングダム』を思い返す。脇役のおっさんがいい味を出してたな。「これから頑張るぞ」なエンディングまでたどり着けた。それは、おっさんの皆がメインキャラ3人の動きを助けたり、補給をしていたおかげだ。異能だけだと、準備不足で力及ばずの展開だっただろう。バックアップ人材は必要だ。

 

バランスタイプだけのチームは、大きな成果が出せない。しかし個性のかたまりだけだと、チームにならない。意見の衝突が収まらず、解散するだけだ。チームには個性の強いタイプとバランスタイプの両方が必要だ。

 

映画『キングダム』でのバランスタイプの代表は”昌文君(しょうぶんくん)”だ。人員を集め、逃走経路を考え、資材を調達する。”昌文君(しょうぶんくん)”の手配りがなかったら、情勢をひっくり返すチャンスすらなかっただろう。メインキャラの3人は、人を惹きつけることはできても万全の支援ができたとは思えない。

 

才気あふれるタイプが、よく持っている思考の癖がある。「できないことが、わからない」呼吸をするように当たり前にできるので、できない人の気持ちがわからないのだ。そして、優秀な人は一般人より少ない。2者の間をつなぐ人物が必要だ。バランスタイプは、ゴールまでの障害物をどけ、走りやすいように道を整える存在だ。組織運営には欠かせない。

 

バランスタイプは目立たないので評価されにくい。本人がチームから去ってから価値がわかる。チームが崩壊してから、残ったメンバーが後悔するパターンが多い。そうなる前に、目に見える成果がなくても評価されるシステムが必要だ。トップの”贏政(えいせいい)”が家臣の”昌文君(しょうぶんくん)”を忠臣と褒め称えたように。

 

油と酢は卵のおかげで、分離せずマヨネーズとなる。

 

<<2019年4月20日に続く>>

映画「キングダム」オリジナル・サウンドトラック

映画「キングダム」オリジナル・サウンドトラック

 

 

↓ ランキングに参加中です。

ブログランキング・にほんブログ村へにほんブログ村

【病院スクランブル】チームは凸凹だからいい

 チームは凸凹だからいい

 

 2019年4月19日 焼き鳥屋

 

映画『キングダム』を観た興奮が冷めない。テンションの高さにヒイている友人を焼き鳥屋に引っ張り込んだ。そのまま1時間ほど、流れの早い川のように感想を話し続けた。メインキャラ3人がどれほど個性が尖っているか。尖った部分のぶつけ合いが絶妙だったか。そんな3人がパズルのごとくガッチリ協力し合った瞬間のカタルシスに、どれほど胸が震えたか。言葉が頭に浮かんで止まらなかった。申し訳ない。

 

一人ならば、総合力がある人が強い。だが、チームは違う。チームの各スキルは、RPGのように最も能力値の高いメンバーのスキルが基準になる。なんでも平均以上の勇者だけが複数いるチームは強くない。戦士、賢者、レンジャーなど弱点はあっても突出したスキルが有るメンバーをまとめる勇者がいるチームが強い。遊び人が賢者に化けるところも似ている。

 

映画『キングダム』の3人は総合力は低い。”信(しん)”は武力はあるが知力はない。”嬴政(えい せい)”はカリスマ性はあるが武力がない。”河了貂(かりょう てん)”は生活力があっても弱い。しかし3人が力を合わせた時、武力、カリスマ性、生活力のすべてが揃った。”昌文君(しょうぶんくん)”が3人いても、同じ成果は出せないだろう。

 

チームを作るときは欠点のない人を集めたくなる。だが平均点が高い人ばかりのチームは、予想外の成果は出せない。サッカーやバスケットボール、ラグビーのようにスペシャリストの集団こそが、興奮で眠れなくなるような結果を出す。問題を恐れてリスクを避けていては、少しの変化で終わってしまう。異種の組み合わせがない偉業などない。

 

スイカは塩で甘くなる。

 

キングダム ブルーレイ&DVDセット(通常版) [Blu-ray]

キングダム ブルーレイ&DVDセット(通常版) [Blu-ray]

 

 

↓ ランキングに参加中です。

ブログランキング・にほんブログ村へにほんブログ村

【病院スクランブル】映画『キングダム』はチーム戦

映画『キングダム』はチーム戦

 

2019年4月19日 映画館

 

連載第1話から読んでいた作品『キングダム』が実写映画化する。株式相場のように上下する期待を抱えながら、上映する日を待っていた。最も不安だったのは、ワンピースのように不思議な体格と武器の敵の登場シーンだ。。プロローグの時代は暗殺者、しかも暗殺に向いてなさそうなスタイルの敵が出てくる。観客を置いてけぼりにせず、人間離れを演出できるのか。はじめてお化け屋敷に入る子供のような気分でチケットを購入した。

 

開始15分で泣かされた。

 

過去最速である。違和感なんぞ欠片もなかった。へんてこな武器も人としておかしい体型バランスも、漫画のままだった。あまりにリアルだったので、泣いた時点で漫画のことを忘れていた。ただ作品の描く世界を受け入れるのみだった。

 

上映後も作品の余韻が抜けきらず、誤って男性トイレに一歩入ってしまった。「ごめんなさい」とすぐに引き返したら、共に来た友人が爆笑していた。気づいていたなら、止めてくれ。

 

そんなトラブルもあったが、来てよかった。観ているだけで体温と心拍数が上昇する作品だった。何より熱くなったのが、お互いへの信頼だ。メインキャラの3人は出会ったばかりだ。しかも生きてきた世界がまったく違う。共通点は秦(しん)に住んでいることと若さぐらいしかない。一人では生き抜く力のない3人が、お互いの強みを活かし合うことで命の危機に対抗していく。チームの素晴らしさを教えてくれる作品だった。王道の良さを思い知らされた。

 

王道は、人間の心理が変わらない限り永遠だ。

 

キングダム ブルーレイ&DVDセット プレミアム・エディション(初回生産限定) [Blu-ray]

キングダム ブルーレイ&DVDセット プレミアム・エディション(初回生産限定) [Blu-ray]

 

 

↓ ランキングに参加中です。

ブログランキング・にほんブログ村へにほんブログ村

【病院スクランブル】感謝される部下とは?

感謝される部下とは?

 

2019年4月17日 自宅

 

上司のキャラが強烈で記憶に残りにくいが、映画『ハンターキラー』には様々なタイプの部下がいた。そばに居てくれたら仕事がしやすいタイプがいた。むしろ自分の仕事が10倍になるタイプもいた。まったく性格が思い出せないタイプが最も多かった。組織での生き方が学べる作品だ。

 

組織に参加すると「すごい」としかコメントできない人物に出会うことがある。人格も能力も知識も素晴らしく、その人が話すたびに笑いが巻き起こる。ビジネスも、趣味も充実している。ぜひ継続した関係を持ちたい相手だが、そんな人は例外なく忙しい。なにより話す相手が多い。「いかに覚えてもらうか?」が分かれ目になる。ただし悪印象なら忘れられた方がマシである。場合によっては、二度と会ってもらえない。

 

ある会社に勤めていた時、毎日話す上司が3人いた。そのうちの一人が飛び抜けていた。実力で役職に座り、会社公認で副業もしていた。趣味もお茶・華道だけでなく、香道にまで手を伸ばしていた。まとまった休みを定期的に取り、日本だけでなく世界中を旅していた。いろんな面で仲良くなりたい人だ。

 

上司の場合、覚えてもらうのは簡単である。上司が喜ぶ成果を出せばいいだけだ。会社にとってではなく、上司にとってがポイントである。上司が「ありがとう」と言いたくなる行動をすればいいだけだ。私は3ステップで最も気に入られた部下になった。

 

まずは観察である。相手の特性がわからないのに、喜ばせることなんてできない。観察が十分でないと”成果を上げたのに嫌われる”なんて結果になる。相手の好き・嫌いと職場での立場は、最低限抑えるポイントだ。

 

次は行動の習慣化だ。仲良くなりたい上司は、時間に厳しくマナーにうるさい人だった。だから毎日、最低でも始業時間30分早く出社し、休憩終了5分前には着席していた。

 

最後は成果だ。ビジネスである以上、結果を出さなければ認められない。プライベートでも交流したい上司は、新入社員の教育係でもあった。そして入社1ヶ月目に、社外の試験を受けるスケジュールになっていた。私は試験で満点をとった。上司が満面の笑みで「ありがとう」と言った瞬間、勝利を確信した。

 

上司に喜ばれるのは楽ではない。他の人以上に価値を提供しないと、個人的に親しくはなれない。「そこまでする気がない」と感じる時はしなくていい。代わりに、1ヶ月も話さなくなれば忘れられるだけだ。「この会社を辞めても連絡を取りたいか?」が個人的見極めポイントである。真剣に感謝されたことがあれば、会社を去っても上司とのご縁は続く。

 

感動した作品は、10年後でも覚えている。

 

<<2019年4月18日に続く>>

 

ハンターキラー 潜航せよ

ハンターキラー 潜航せよ

 

 

↓ ランキングに参加中です。

ブログランキング・にほんブログ村へにほんブログ村